「金色夜叉(こんじきやしゃ)」、国語の授業で教わった記憶がかすかにあります。
金色夜叉は戦前に書かれた小説で、作者の尾崎紅葉(おざき・こうよう)が、ここに泊まって執筆したのだそうです。
もともとは「佐野屋」という名前の宿だったのを、後日「金色夜叉」に出てきた宿の名前「清琴楼(せいきんろう)」に変えたとのこと。
そんな長い歴史と、レトロな感じが特長の宿です。
(2016年12月,2021年12月宿泊)
建物とお部屋
清琴楼は、国道沿いのバス停でバスを降り、階段を下りた先にあります。国道からも見える通り、立派な建物。中央の、緑色の屋根の建物が清琴楼です。
本館、別館、第2別館の3棟があります。一番古い本館は築100年以上。現在、本館には泊まれません。玄関も、別館から入ります。


歴史の古い建物ですが、中は新しくてきれいになっていました。
昭和時代のパンフレット、ブラウン管のテレビ、フィルム式のカメラ、ジュークボックス等々、昔のモノたちが飾られています。




お部屋(別館)
階段を上って、別館の2階にある部屋に案内されました。木造の建物だからか、歩いていて少し揺れる感じがします。
ところどころ古さを感じますが、個人的にはこういう古い建物が好きなので、特に気になることはありませんでした。
お部屋にはトイレと洗面所、冷蔵庫と金庫があります。冷蔵庫の中には瓶ビールが2本だけ入っていました。
トイレは古くシャワー付きではありませんでしたが、別途共用のトイレがあり、そちらは新しいものになっていました。
紅葉の間(本館)
別館とつながっている、清琴楼の中で一番古い、本館。
こちらの建物には泊まれませんが、中を見学できるようになっています。
別館の2階から本館へ入っていきます。建物自体は土台以外はほとんど当時のままとのことで、隙間風が入ってくる寒い中、ミシミシ言う廊下を歩きます。


階段を上がって3階へ。ここに、「金色夜叉」の作者、尾崎紅葉が泊まって小説を書いたというお部屋、「紅葉の間」がありました。


この本館の探検が結構面白く、古いポスターや駕籠(かご)、山の模型等々、面白いものがいろいろ展示されていました。




古い建物の宿って、こういうところが面白いので、好きなんです。古いからって、泊まるのを敬遠とかしないでほしいなと思います。
温泉とお風呂
お風呂は男女別の内風呂と、家族風呂があります。以前は露天風呂もあったそうなのですが、2015年の大雨の被害を受け、今はもうないとのこと。
ネットの情報によれば、お湯が熱いとのことだったのですが、この日は雪の舞う寒い日で、熱い温泉に入るのもそこまで苦ではなかったです。
最初は熱さで手足がじんじんしたものの、一度入れば、ゆっくり浸かることができました。少しだけにごっていて、さびた鉄のようなにおいがしました。
内風呂「静の湯」
別館の2階から渡り廊下を歩いていき、階段を下りて行った先にあります。かつてはこちらが女湯だったようですが、泊まった時は21時まで男湯でした。
内風呂「ラッキー風呂」
変わった名前の、ラッキー風呂。「静の湯」に行く渡り廊下の手前にあるので、お部屋からはこちらの方が近いです。
21時まで女湯で、それ以降は男湯になっていました。(かつてはこちらが男湯だったようです)
「静の湯」より脱衣所もお風呂場も広く、またリフォームされているようで、きれいでした。
確かに、夕食の前後のお風呂時間に女湯にしたほうが便利そう。「静の湯」よりきれいですし、洗い場も整っていますので。
家族風呂
ラッキー風呂のお隣にあります。家族風呂にしては広く、脱衣所に大きなベビーベッドもありました。赤ちゃんの着替えに便利そうです。
こちらはタイル張りのかなり古びたお風呂でしたが、家族風呂なので中から鍵がかけられるようになっていました。
食事(素泊まり利用)
2回お世話になりましたが、いずれも素泊まりプランでの予約だったので宿の食事はいただいていません。
歩いて行けるところに、飲食店がいくつかあります。ロビーにお店の案内が入ったファイルがあり、それを見てから食べに行きました。
また「じゃらんnet」によると、2食付プランは1日2組限定となっています。
個人的感想
安く泊まれて、いい温泉に入れて満足です。
帰りを急ぐ旅だったので、早めにチェックアウトしました。
でも、もう少しのんびり過ごしたかったなと、今さらながら思ってしまうのでした。
おすすめポイントは以下の通りです。
- かけ流しの温泉にゆっくり入れます。
- 古い建物がお好きな方には楽しんでいただけると思います。
アクセス
鉄道・バス
「塩原畑下」バス停は、新宿からの高速バス「那須・塩原号」も停車しますが、塩原行きのバスは土曜・休日のみ、1日1本になりますのでご注意ください。
(2021年12月現在、運休中)
車
東北自動車道「西那須野塩原」インターから、国道400号線経由で約20分。
国道沿いには、道の駅「湯の香しおばら」や、お店もあります。
関連リンク
近くの宿の宿泊記録
この宿が出てくる旅行記
公式サイト
さて、今度はどこへ行こうかな。