※2024年5月より、運休の便がさらに増える予定です。最新の運行状況はバス会社のホームページをご確認ください。
首都圏から公共交通機関で栃木県の北部、那須・塩原地方へ行くにはいくつか手段があります。
- 東北新幹線で那須塩原駅まで行き、路線バスに乗り換える。
- JR宇都宮線で西那須野駅・黒磯駅まで行き、路線バスに乗り換える。
- 高速バス「那須・塩原号」。
今回は、乗り換えなしでまっすぐ私たちを温泉へ連れて行ってくれる、3の高速バス「那須・塩原号」のご紹介です。
那須・塩原号の概要
「那須・塩原号」は新宿のバスターミナル「バスタ新宿」と那須塩原方面とを結ぶ高速バスですが、新宿から見た行き先は3種類あります。
- 那須温泉行き。毎日運行です。旧称「那須リゾートエクスプレス」。
- 塩原温泉行き。運休中です旧称「もみじ号」。
- 西那須野駅行き。新宿発のみ毎日運行です。1日1本のみ。旧称「与一号」。
また、季節限定で運行する「那須ハイランドパーク号」という便もあります。こちらはバスタ新宿からではなく、東京駅から出発します。
ここでは、上記の1と2、那須温泉行きと塩原温泉行きの紹介をします。まずは概要から。
那須温泉行き
- 運行会社:関東自動車
- 所要時間:約3時間20分~4時間(新宿から那須温泉まで)
- 本数:那須温泉行きは1日1便、バスタ新宿行きは1日2便。毎日運行。2024年5月からは、那須温泉行きは運休となり、バスタ新宿行きの1便のみとなります。
- 料金:3,800円(新宿から那須温泉まで)。各種割引あり。
塩原温泉行き(運休中)
- 運行会社:ジェイアールバス関東
- 所要時間:約3時間10分(新宿から塩原温泉まで)
- 本数:運休中
- 料金:3,400円(新宿から塩原温泉まで)。各種割引あり。
那須・塩原号の特長
那須・塩原号の一番のメリットは、那須温泉・塩原温泉の温泉街までまっすぐ向かうので、温泉街まで乗り換えが不要なことです。
高速バスなので、JRと路線バスを乗り継いで行くよりも安く済むのも魅力。
それから、群馬県・新潟県方面や山梨県・長野県方面に行く高速バスと比べて、比較的高速道路の渋滞で遅れることが少ないのも嬉しいです。
と書いていると、想定外の事故渋滞などがあって、大きく遅延したりするのですが。
また、塩原温泉行きのバスは帰り(新宿行き)の発車時刻が15時と遅めなので、温泉宿をチェックアウトしてから少し時間が空いてしまいます。
すぐ帰るにはちょっと不向きではあります。
那須・塩原線の乗り方
ネット予約・ネット決済が安い
いずれのバスも、事前の予約が必要です。予約には予約サイト「高速バスネット」が便利です。
https://www.kousokubus.net/BusRsv/ja/
予約後の支払いですが、高速バスネットでクレジット払いをすると、バスに乗る際に運転手さんに現金で支払うよりも少し安くなります。
例えば新宿から那須温泉までは、定価が3,800円ですが、ネット予約してカード決済すると3,610円です。
あまり利用者は多くなさそうですが「Suicaインターネットサービス」というのがあって「高速バスネット」上でSuicaの残額から乗車券の料金を支払うこともできます。
ただこちらは、クレジットカード決済で適用される「ネット割」がありません。
塩原方面の乗り継ぎ割引
塩原温泉への高速バスは運休中ですが、那須温泉と新宿とを結ぶ高速バスと、塩原温泉行きの一般の路線バスとを途中で乗り継ぐことができます。
乗り継ぐ場所は、塩原のふもとにある道の駅「アグリパル塩原」。
- 新宿方面-(高速バス)-アグリパル塩原-(一般路線バス)-塩原温泉方面
- 塩原温泉方面-(一般路線バス)-アグリパル塩原-(高速バス)-新宿方面
その場合、路線バスの運賃が割引になります。
この割引を利用する場合は、バスを降りる際に運転手さんへ一声かけて、手続きをしてもらう必要があります。
バスを降りてから次のバスに乗る前の時間は十分確保されているようですが、バスなので渋滞等で遅れてしまい、うまく乗り継げないリスクも一応あり。
「アグリパル塩原」は道の駅なので、待ち時間に食事や買い物もできるようになっています。
那須・塩原号に乗ってみた
それではバスに乗ってみましょう。
便によって停車するバス停やルートに若干違いがありますが、一番スタンダードなルートでたどっていきます。
新宿~佐野サービスエリア(休憩)
那須・塩原号の東京側のスタート地点は、新宿南口の「バスタ新宿」です。
新宿を出たバスは、まずは一般道路をゆっくり走ります。都電荒川線の線路に沿って、王子駅前で停車。ここで何人かのお客さんを乗せ、首都高速へ。
首都高速を少し走ってから、バスは東北自動車道へと入っていきます。
マニアックな話ですが、東北自動車道に入ると少しバスの揺れが落ち着いて、乗り心地が良くなります。
バスは関東平野を走り抜けていきます。東北道は関越道や中央道より渋滞が少ないので、割とスムーズに行ける印象。栃木県に入り、佐野サービスエリアで休憩です。
佐野サービスエリア~アグリパル塩原
休憩を終えて、バスはまた高速道路に戻っていきます。一部の便は、その先の鹿沼インターでいったん高速道路を出て、バス停に寄ってから高速道路に戻ります。
以前は、鹿沼インターからもう少し離れたところに「鹿沼バスターミナル」というバス停があったのですが、廃止になりました。
確かに自分が乗った時には、ここで乗り降りしている人を見たことがなく。
西那須野塩原インターでバスは高速道路を降ります。降りてすぐのバス停「ホウライ」は、千本松牧場という大きな牧場の敷地の中。ここで乗り降りする人が割と多いです。
道路に戻り、バスは背の高い木が並ぶ林の中を走ります。木々の向こうに牧草地や寝そべっている牛が見えたりして、那須らしい風景です。
やがて広い道路に出て「アグリパル塩原」に停車です。バス停は駐車場の中にあります。
ここから、塩原温泉方面のバスと那須温泉方面のバスとでルートが分かれます。
那須温泉方面:アグリパル塩原~那須温泉
では、まずは那須温泉方面へ進みましょう。車窓は牧場、レストラン、ホテルが目につきます。
町の雰囲気に配慮しているのか、この辺のお店は、大手コンビニやファミレスでも、ロゴや外見が茶色をベースにしたものになっています。
一部の便が通る「戸田」バス停は「下野の薬湯」板室温泉方面に行くローカル路線バスのバス停もあります。
以前はここ戸田バス停で高速バスを降り、路線バスに乗り換えて板室温泉に行くこともできましたが、現在は上手く乗り継げるバスがほとんどなくなってしまいました。
ただ、板室温泉の宿の中には、ここ戸田まで送迎してくれるところもあるようですので、高速バス+宿の送迎で板室温泉へ行ける場合もあります。
続いてバスは道の駅やホテルの中にあるバス停に寄りながら、少しずつ上がっていきます。
終点の那須温泉は「鹿の湯」で有名な那須湯本温泉の温泉街のあたり。
那須五岳の1つ「茶臼岳」に登る「那須ロープウェイ」の乗り場はさらに先にあり、関東自動車バスで向かうことができます。
塩原温泉方面:アグリパル塩原~塩原温泉
さて、アグリパル塩原に話を戻して、塩原温泉方面のバスにも乗っていきましょう。
那須温泉方面へのバスはなだらかな道を行きますが、こちら塩原温泉方面はすぐ上り坂になります。カーブも多く、トンネルもあります。
塩原温泉郷は広く、温泉地や温泉宿も点在していますが、バスはそれぞれの温泉地にこまめに寄っていきます。
車窓が温泉街っぽくなり、終点の塩原温泉バスターミナルに到着。
ここから先にも温泉地や温泉宿がありますが、そちらに行く場合は、路線バス「ゆ~バス」に乗り換えるか、宿に送迎をお願いすることになります。
ご参考:東北新幹線やまびこ号・なすの号
さて、那須・塩原号と競合関係にあるのは、東北新幹線と言えそうです。
那須温泉・塩原温泉の最寄り駅である那須塩原駅に止まるのは、各駅停車タイプの「なすの」号と、仙台に向かう「やまびこ」号です。
では、新幹線と高速バスとをざっくり比較してみましょう。
那須温泉まで
- 所要時間:約2時間半。高速バスは約3時間半。
- 料金:7,240円(東京駅から通常期の指定席+バス、定価)。高速バスは3,800円。
塩原温泉まで
- 所要時間:約2時間。高速バスは約3時間。
- 料金:7,410円(東京駅から通常期の指定席+バス、定価)。高速バスは3,400円。
金額の差が結構ありますが、新幹線なら渋滞はないですし、高速バスは本数も多くないので、個人的には新幹線を利用することが多いです。
交通費を節約したいときは、新幹線ではなく普通列車を利用したりもします。
乗り換えの注意点(塩原)
最後に、新幹線を利用して塩原温泉に行く場合は、乗り換えの注意点があります。
那須塩原駅から塩原温泉行きの路線バスが出るのはお昼の時間帯のみ。
午前中や夕方に那須塩原駅に着く場合は、那須塩原駅でJR宇都宮線に乗り換えて、お隣の「西那須野駅」に移動し、そこからバスに乗り換えることになります。
書いていると、行きたくなってきました。
さて、今度はどこへ行こうかな。