これまで静かな温泉旅のブログでは、首都圏から関東甲信越の温泉地に向かうのに便利な新幹線について、一通り紹介してきました。
- 長野県(上田・長野)方面へは、北陸新幹線のあさま号。
- 群馬県・新潟県(越後湯沢)方面へは、上越新幹線のたにがわ号。
「あさま」も「たにがわ」も、途中の駅が終点で、停車駅が多く比較的所要時間のかかる新幹線ですが、その分空いていたり、安く乗れたり、というメリットがあります。
そんな「途中までしか行かない、停車駅の多い新幹線」。
残るはあと一つ、栃木県・福島県(郡山)方面へ行く、なすの号(以降「なすの」)があります。
なすの号の概要
東北新幹線「なすの」は、東京駅と福島県の郡山駅とを結んでいます。夕方以降の時間帯は、郡山駅の2駅手前の、那須塩原駅が終点です。
そう、栃木県北部に広がる、那須野が原の「なすの」名前の由来なのですね。
停車駅
東京から、上野、大宮、小山、宇都宮、那須塩原、新白河、郡山。東北新幹線のすべての駅に止まります。
本数
昼間は2時間に1本。「なすの」の走らない時間帯は、ほとんど各駅に止まる、仙台行きの「やまびこ」が代わりに走っています。
朝には東京行きの「なすの」、夕方以降には那須塩原行きの「なすの」が多く設定されています。栃木県方面と東京都を通勤で往復する人が多いのでしょうか。
所要時間
途中の駅で「はやぶさ」等に追い抜かれることもあります。
- 東京~宇都宮:約1時間弱
- 東京~那須塩原:約1時間強
- 東京~郡山:約1時間40分
運賃・料金
指定席(通常期)の特急券を含めた金額は、以下の通りです。
- 東京~宇都宮:5,020円
- 東京~那須塩原:6,020円
- 東京~郡山:8,340円
なお、一部の「なすの」は指定席がなく、全て自由席になっています。自由席の場合は、上記の金額よりさらに安くなります。
インターネットから予約できる「トクだ値」を利用すれば15%~35%安くなります。同じ区間の「やまびこ」にもトクだ値が適用されます。
ICカード
指定席・自由席ともに、Suica等の交通系ICカードが利用できます。
車両がいろいろ
全く電車好きの視点ではありますが、なすの号の車両はいろいろあって面白いです。
- E2系。以前は東北新幹線の主役だった車両です。
- E3系。山形新幹線「つばさ」と同じ車両。「なすの」ではE2系やE5系とつながった状態でやってきます。
- E5系。今の東北新幹線の主役です。「はやぶさ」と同じですね。グランクラスもついています。
- E6系。秋田新幹線「こまち」と同じ車両。「なすの」ではE5系とつながった状態でやってきます。
「E5系+E3系かE6系」もしくは「E2系⁺E3系」という風につながっている「なすの」の場合、何号車に乗るかによって、車両が違ってきます。
普通車の座席の並びは、E2系、E5系であれば2列⁺3列。(■■ ■■■)
E3系、E6系であれば2列⁺2列です。 (■■ ■■)
なすの号に乗ってみた
さて、いつ行っても人が多い東京駅から「なすの」に乗ってみることにしましょう。
駅のみどりの窓口などに置いてある分厚い本の時刻表を見ると、これから乗る「なすの」がどの車両かが分かります。
「なすの」には車内販売がないので、お買い物は事前に済ませて乗りましょう。
「なすの」は走る距離は短いのですが列車の長さは長いことが多いです。何と最大17両編成。例えば17両編成だと、10両編成の列車と7両編成の列車が繋がって、17両。
10号車と11号車の間は、要は新幹線の鼻と鼻がくっついている部分なので通り抜けできません。指定席の場合は、乗る車両を間違えないようにご注意を。
東京~宇都宮
東京駅を出て数分したら、地下にもぐって上野駅です。その後地上に上がってゆっくり走って、大宮駅。
「なすの」も大宮駅を出てから新幹線らしくスピードを上げます。大宮駅から次の小山駅まではあっという間で、20分ほど。
小山駅は栃木県です。群馬県方面に行く両毛線と、茨城県方面に行く水戸線に乗り換えられます。
小山と宇都宮との間はさらに短くて、10分ほどで着いてしまいます。


宇都宮駅では、黒磯方面の宇都宮線、日光方面の日光線、烏山方面の烏山線などに乗り換えできます。
那須温泉、塩原温泉に行く前に、宇都宮で新幹線を降りて宇都宮餃子を食べてから、普通列車で黒磯方面に向かう、というパターンも好きです。
話を「なすの」に戻しまして。
「なすの」はたいてい宇都宮駅で数分停車し、後から来る新幹線に追い越されます。
宇都宮~郡山
次の駅は那須塩原駅。遠くに那須の山々が見えます。


那須温泉、塩原温泉、板室温泉に向かうバスは、ここで乗り換えです。
ただし、塩原温泉方面へのバスは、朝もしくは夕方以降の時間帯は、那須塩原駅を出る便がありません。
そのときは、那須塩原駅でJR宇都宮線に乗ってお隣の西那須野駅に行き、そこからバスに乗ります。
さて「なすの」は那須塩原駅が終点の列車もありますが、さらに先の郡山駅まで向かう「なすの」はここ那須塩原駅でも数分停車して、後ろからの新幹線に道を譲ります。
出発してからはすぐトンネルに。ちょうど栃木県と福島県の境目で、トンネルを出て次の新白河駅は福島県。東北に入ってきました。


新白河から先もトンネルばかりで、トンネルとトンネルの合間にちらっと見える景色が田畑や緑の風景で、東北地方に入ったんだなと思います。
桜の季節に乗ると、北上する桜前線を途中で追い越してしまい、関東では咲いていた桜の花が福島ではまだ咲いていない、ということもあります。
逆に、関東で散ってしまった桜が福島ではまだ咲いていたり・・・とか。
まあ、新幹線はすごい速さで通り過ぎるので、あくまでちらっと見える世界のことではあります。
トンネル続きを抜け、田んぼが広がる景色を長く眺めていられるようになると、阿武隈川をまたいで、東北本線の線路が寄り添ってきます。
そろそろ終点の郡山駅が近づいてくるころ。ご乗車お疲れさまでした。
ご参考:高速バスと普通列車
栃木県の温泉を目指す場合「なすの」以外にも選択肢があるので「なすの」以外の交通手段を利用することも結構あります。
東北新幹線以外の交通手段とは、
- 高速バス「那須・塩原号」。
- 宇都宮線の普通列車。
これらが「なすの」のライバルと言えるのではないかな、と勝手に思っています。
高速バス
高速バス「那須・塩原号」は那須温泉・塩原温泉が終点なので、乗り換えがないのが便利です。
また、このバスが走る東北自動車道は、比較的渋滞が少なく遅れにくいので、安い値段で行くならバスでもいいかな、と思ってしまいます。
これが関越自動車道を走る高速バスに乗る場合だと、渋滞で大幅に遅れることが多いので、どちらかと言えば新幹線「たにがわ」「あさま」を選んでしまうのですが。
普通列車
また、宇都宮までならさほど遠くないので、普通列車のグリーン車でのんびり行くのでも良いかな、と思うことも多いです。
「なすの」の割引率は結構いいので、割安のきっぷが取れれば新幹線ですいすい行きたいところではありますね。
東武線の特急
また、日光・鬼怒川方面は東北新幹線から離れていて、東武線の特急「きぬ」等に乗っていくのが便利です。新幹線をあえて使うことはないかも。。
お隣の群馬県にある温泉に行く場合、たいていは新幹線の駅がある高崎を通るので、新幹線利用になることが多いのですが、そこが違いですね。
なすの号の良いところ
そんなこんな、ぱっと思いつく「なすの」の良いところは、
- 新幹線なので早い。
- 「トクだ値」で安く利用できる。
- いろいろな車両に乗れる。(鉄道好き目線で・・・)
「なすの」だけの良いところ、ではないので、書いていて少々苦しいところではあります。。
以上、東北新幹線の中でも比較的地味な「なすの」にスポットを当てて書いてみました。
さて、今度はどこへ行こうかな。