2020年の春は、日本中の人が外出を控えています。
自分も同じくで、家にこもる生活になっていました。
気分的にもふさぎ込んできた感じがあり、日を追うごとに、出かけたいという気持ちが強くなってきたのも事実で、迷いつつも少しだけ、静かな温泉旅をしてきました。
旅の計画
予約サイトを見ると、週末に1名で泊まれる宿が結構あります。どこの宿も、予約が減っているのかもしれません。
いくつか候補を絞っていく中で、群馬県の「磯部温泉」の宿を見つけました。
ふだん、磯部温泉の宿は週末にひとりで泊まれるプランを予約サイトにほとんど出してきません。逆に言えば、磯部温泉に泊まれるチャンスでもあります。
そこで、磯部温泉の小さな宿に直前予約を入れました。
群馬県までは上越新幹線で向かいます。普通列車でも良かったのですが、電車での移動時間は短いほうが良いかと思い、新幹線に。
高崎駅まで15%オフで乗れる「えきねっとトクだ値」がまだ残っていました。
シートマップで座る席を選ぼうとすると「〇」がずらっと並んでおり・・・そう、ほとんど誰も予約していなかったのです。
1日目(東京→高崎→磯部温泉)
空気を運ぶ新幹線
朝の東京駅、いつもより人が少なめ。
新幹線ホームに上がり、駅弁屋さんで駅弁を買おうとしたところ、3か所ある駅弁屋さんのうち1か所しか営業していませんでした。
お客さんが少ないので、閉めているのかもしれません。開いている1か所でお弁当とお茶とを買って、新幹線へと乗り込みます。
今回の新幹線は、2階建ての「Maxたにがわ」。
予約していた1階に降りていき、駅弁を広げます。広げた後で、今回の行き先、高崎駅には有名な鳥めしの駅弁があるのを思い出しました。
まあいいやと食べ始めると、新幹線はゆっくり走り出していました。
自分が乗った車両の1階席は、他にお客さんがいないようです。上野を過ぎ、大宮を過ぎてもこのままでした。
Maxの1階席からは、基本的には壁と空しか見えません。それで、高崎に着いたら何をしようかスマホで調べつつ考えることに。
思いついたのは、ふたつ。
- 久しぶりに御朱印帳を連れてきたので、駅から近いところの神社に行ってみる
- 高崎には「絶メシ」こと、絶滅の危機にある絶品グルメがあり、そこでお昼を食べる
調べていたら、あっという間に高崎です。乗車時間は、1時間。
スサノオと絶メシ
新幹線を降りて駅を出て、まずは自転車を借りるために、高崎駅西口の駐輪場へ。
2018年に高崎に行ったときもここで自転車を借りて町を走ってみたのですが、今回も同じことをします。
自転車は中古のママチャリで、多少ガタが来ている様子。それでもまあ乗れますし、無料なので文句は言えません。
さて、新幹線の中で調べて見つけた「道雄神社」へと向かってみることにしました。すさのおじんじゃ、と読むらしく。
高崎駅からは4キロほど離れているようです。
ちょっと横着をして、道案内をGoogleマップに丸投げしました。
要は、Google先生が「右方向です」といえば右に。「左方向です」と言えば左に・・・と進んでいくわけです。
線路をくぐって東口に出ると、すぐに住宅地になり、春ののどかな郊外の風景になり。
Google先生が頻繁に左、右、と言うので、車の入ってこれなさそうな細い道に入ったり、途中怪しいところもありましたが、何とか到着。
比較的大きな神社でしたが、お参りに来ていたのは自分だけのようでした。
世の中が落ち着いてほしいこと、自分のこと、家族のこと、そして静かな温泉旅のブログのこと。欲張ってお願いをして、御朱印をいただき、戻ります。
自転車が風で倒れていました。そう、この日は風がとても強かったのです。
次に、これまた新幹線の中で調べていた「絶メシ」リストにある古い喫茶店へ、Google頼みで向かうことにしました。
今度はGoogle先生は広い国道をまっすぐ行くルートを示したようで、静かになります。向かい風が凄くて、自転車をこいでもゆっくりとしか進めません。
やがて高崎駅に戻り、Googleの言う通りに線路をくぐって高崎駅の西口に。こちらは少し街が古いようです。
目的地付近です、というGoogleの声がしたのですが、それらしき喫茶店が見当たらず、あちこち回ってしまいました。入口がさりげなくて、ようやく発見。
階段を上がり、2階にあるお店へ。ご年配のご主人が、おつかれさま、と迎えて下さり、古びたメニューからチーズサンドと珈琲を注文します。
タマゴサンドが美味しいよ、ご主人が言うので、それに変更。
古びた喫茶店、最近の静かな温泉旅では行ってみることにしていますが、ここ「コンパル」もかなり味のあるお店でした。
磯部温泉へ
駅に戻って自転車を返し、今度は電車に乗ります。今日泊まる磯部温泉は、JR信越線で20分ほど。
ホームに降りるとすぐ、信越線の電車がやって来ました。ボタンを押してドアを開け、昼下がりの空いた電車の中へ。10分そこそこしてから、電車は動き出しました。
北高崎、群馬八幡、安中と止まり、磯部駅は4つ目。あっという間に到着です。
自分を含めて数人のお客さんが降りました。。
昭和っぽさの漂う看板をくぐって、狭い道を歩いていくと、小さな神社と公園がありました。
ここ磯部は、いわゆる「温泉マーク」発祥の地と言われています。磯部にまつわる江戸時代の文書に温泉マークが描かれていたそう。
で、神社の裏手に、日本最古の温泉マークを刻んだ石碑もあります。見ると、斜めに泳ぐクラゲのような。
さて、チェックインの時間はまだまだ先です。小さな温泉街ですが、ぐるり散歩してみることにしました。
磯部は「磯部せんべい」が有名なところで、温泉街の中にも何件か、せんべいのお店があります。温泉(鉱泉)の水を練りこんで作った、甘いせんべい。
他にお店も見当たらないので、1件ずつ入って試食させてもらいつつ、少量ずつを買いました。お土産用と、夜に食べる用と。
そのうち1件で、ちょうどせんべいを焼いていて、いい匂い。買ったお客さんには焼き立てのせんべい1枚サービスしますよ、とのことで、アツアツのをいただきました。
できたての磯部せんべいは柔らかく、ぬれせんべいの様な食感。砂糖も入っているので、クッキー的な感じでもありました。
次に、大きなホテルを横目に碓井川を渡って、坂を上ります。
川の向こうには温泉街を見渡せる「愛妻橋」という橋がかかっていて、橋を歩いて、ぐるり回ってきました。
また時計を見ると、それでもまだ時間があり、温泉街の中心をもう一回り。そうしてから、この日の宿へとチェックインしました。
高崎の夜
部屋に荷物を置き、ひと風呂浴びてから、貴重品を持って宿を出ました。今回は素泊まりにしたので、夕食を食べにいこうというわけです。
今回は高崎の町に出て夕食をいただく計画でした。電車で20分で着けるので、さほど遠くはありません。それで、また電車に乗って17時ごろに高崎に戻ってきました。
お目当ては、駅ビルの奥の方にある「群馬の台所」というお店。有名な駅弁「峠の釜めし」を作っている「おぎのや」のお店です。
まだ早い時間で、自分がこの日最初のお客さんのようでした。
ひとりで飲食店に入るときは、空いている早い時間帯がおすすめで、いつも早めにお店に入るようにしています。今回は時期的にも、なおさらで。
種類が豊富な群馬県の地酒をいただきつつ、
- 舞茸の天ぷら。群馬県に来たなら外せません。
- 漬物の盛り合わせ。「峠の釜めし」と恐らく同じ漬物が出てきました。
- 上州豚のシュウマイ。
をつまんでみました。
他にも、県内の「奥利根ワイナリー」のワインや、うどん、赤城鶏、上州もち豚等々いただきたかったのですが、お店が混んできました。
なので最後は、鶏ごぼう飯で終了。おそらくは峠の釜めしと同じごはんのはず。
ここである程度満足しましたが、寄り道を。
同じく駅ビルにあって、このブログでも時々出てくる「登利平」に行きました。
普段であれば「上州御用鳥めし」を買うのですが、今回は焼鳥をテイクアウト。
また信越線に4駅乗って磯部に戻り、夜の温泉街を歩いて宿へと戻ります。
予約していた貸切の露天風呂にゆっくり入ってから、先ほどの焼鳥と、お昼に買った磯部せんべいとを少しつまんでから、おやすみなさい。
2日目(磯部温泉→安中榛名→高崎→東京)
新幹線の秘境駅へ
夜中に喉が渇いて目が覚めてしまい、水を飲んでまた眠り。
素泊まりなので、朝食の時間を気にせず朝寝坊をし、朝風呂に入って9時過ぎにチェックアウトしました。
今日はまっすぐ高崎に出て、高崎で食事をして新幹線で帰るだけの予定。
信越線の電車に乗ろうと磯部駅に出ると、駅のロータリーに小さなバスが止まっています。行き先は「安中榛名駅」。
安中榛名駅は北陸新幹線の駅ですが、利用者数がとても少ない「秘境駅」として知られています。多くの新幹線が通過する駅でもあります。
新幹線の駅なのに秘境駅、という安中榛名駅に行けるチャンスと思い、このバスに乗ってみたくなりました。
運転手さんに聞くと、磯部から安中榛名までは25分とのこと。急いでスマホで新幹線の時刻を調べると、ちょうどいい時間に新幹線に乗れそう。
それで予定を変更して、バスで安中榛名駅まで行くことにしました。
バスは自分だけを乗せて磯部の駅を出て、さっき歩いてきた温泉街の狭い道を走っていきます。
川を渡り、坂を登ってからも狭い道が続いていましたが、やがて道が広くなり、バスは我に返ったようにスピードを上げていきました。
坂を下って登って、走っている道が少し立派になったなと思ったら、バスは分譲地の中へ入っていきます。
JR東日本が、安中榛名駅の駅前に作った分譲地で、新しそうな一軒家が並んでいました。そんな中を抜け、静かな安中榛名駅へと到着です。
改札をくぐってホームに上がると、10人そこそこのお客さんが次の新幹線を待っていました。鳥がずっと鳴いていて、のどかな駅。
やってきた北陸新幹線「あさま」の自由席は空いていました。
新幹線あさまはトンネルを抜けて山を下り、窓の外に家々が目立つようになり、上越新幹線の線路と合流して、ほんの数分で高崎駅へ。
旅の最後は高崎パスタ
高崎からは上越新幹線を予約していたので、また高崎で途中下車をします。11時前なので、ちょっと早いお昼にしました。
高崎はパスタが有名な町。ボリュームのあるスープパスタが定番です。人気のパスタ屋さん「はらっぱ」が駅ビルに入っているので、久しぶりに行ってみました。
このお店、普段は並ぶのですが、早い時間帯なのでお店も空いており、すぐお店に入ることができました。
トマトとチーズのパスタは、やはり量が多め。チーズたっぷりで美味しかった。。
パスタのボリュームを考えて、実は朝食を食べないできたのですが、それでも満腹になりました。
高崎をたっぷり堪能して、最後は上越新幹線「Maxたにがわ」に乗ります。1階席はがらんとしていて、乗っていたのは自分含めて2人だけでした。
今回の旅のまとめ
時期的に行くかどうか迷ったのですが、自分なりに気をつけて出かけてきました。
- 混んでいるところには行かない。(普段の静かな温泉旅から、そうしていますが)
- 電車・バスの移動時間は最低限にとどめる。
というのが条件で、都内から新幹線で1時間の高崎近辺を選びました。
磯部温泉も以前日帰りで寄り道をしたことがあったので、温泉街の静けさ・規模感は何となく把握できており。
また、高崎は結構グルメが楽しいところで、胃袋と肝臓が複数欲しくなる街のひとつですが、そんな中で今回「絶メシ」のお店に行くことができて満足です。
いつも群馬県への温泉旅で食べている、舞茸、地酒、登利平、高崎パスタもしっかりいただいてきました。
ただ、今回はうどんを食べる機会がなかったので、お土産に買って帰った次第。
最後に、やはり外出を控えている人が多いのでしょう、どこも空いていました。
外出にリスクがあるので、この時期に旅行をお勧めするのは難しいのですが、いつかまた、各地の温泉が賑わいを取り戻せるといいなと願っています。
拙い文章ですが、これを読んでくださったあなたが、春の静かな温泉旅の雰囲気を感じていただけると嬉しいです。
今回行った場所
(今回の温泉旅で出かけた観光スポット、お店等のリンクを後日紹介予定です。)
さて、今度はどこへ行こうかな。