温泉好きのお湯

関東近郊を巡る、静かな温泉旅。今度はどこへ行こうかな。

「上杉謙信の隠し湯」についてまとめてみました

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以前「武田信玄の隠し湯」と呼ばれている温泉について、まとめたことがあります。

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武田信玄は、自身が支配していた甲信地方(山梨県・長野県)とその近辺にある温泉を「信玄の隠し湯」として利用していたようです。

一方で、武田信玄の領地の北、越後(新潟県)は「上杉謙信」という戦国武将が支配していました。

信玄と謙信とは、信州の川中島で何度も戦ったことで、お互いがライバル的に取り上げられることも多いです。

関東甲信越の温泉を巡っているうちに、信玄の、ではなく「謙信の隠し湯」と呼ばれる温泉もあると知りました。

「謙信の隠し湯」がどこまで信ぴょう性が高いのかは分かりませんが、少なくとも謙信が支配した越後国(新潟県)は、温泉が豊富なところ。

合戦から帰ってきてから、謙信がのんびり温泉に入っていたとしても不思議ではありません。

ということで今回は、上杉謙信の生涯(と、その後の上杉家の話も少しだけ)を追いつつ「謙信の隠し湯」と呼ばれる温泉を取り上げていきたいと思います。

謙信の支配した地域は広範囲にわたりますが、自分の行ったことのある温泉を主に紹介していきます。

上越生まれ

謙信は、今の上越市のあたりで生まれました。謙信の生まれた家は越後を支配していた「長尾家」で、彼も最初は長尾景虎(ながお・かげとら)と名乗っています。

長尾景虎は上杉謙信と名乗るまで何度か名前を変えているのですが、このページでは基本的に、最後の名前「上杉謙信(謙信)」で呼び方を統一します。

謙信(景虎)には兄がいました。謙信の父も戦国大名だったのですが、その父が死去した後は謙信の兄がその後を継ぎます。

兄は体があまり丈夫でなかったようで、結局、兄が父の跡を継いで数年後、今度は謙信が兄の跡を継ぎ、越後を支配する戦国大名になりました。

それ以降、謙信がずっと暮らした城は「春日山城」。今の新潟県上越市にあります。

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最寄り?の紅白温泉

春日山城から南に40キロほどのところ、お隣の妙高市に「関温泉」「燕温泉」という2つの温泉があります。これらの温泉は、謙信の隠し湯と呼ばれています。

燕温泉は白く濁る硫黄泉で、妙高山への登山道の脇に野天風呂があります。登山者が入ることの多いこの野天風呂に、謙信も入ったことがあるのでしょうか。

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そんな燕温泉から少し麓へ下っていくと、関温泉があります。こちらは鉄の錆びた匂いがする、赤茶色に濁った温泉です。

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40キロというのはなかなかの距離ですし、両方とも山奥にある温泉です。

当時は車もなく、最も早い手段が馬、という感じだったと思われるので、気軽に行ける距離ではなかったでしょう。

けれど、このあたりが謙信からすれば「自宅からの最寄りの隠し湯」だったのだろうなと・・・謙信はどれだけ訪問したのかなと。

関東出兵

長尾から上杉へ

さて兄の跡を継ぎ、越後の戦国大名となった景虎(謙信)は、義理堅い性格で知られていました。

越後の周囲にいた武将たちがそんな謙信に助けを求めてくることも多く、謙信は彼らの頼みに応じて、自ら軍を率いて越後の外で戦いました。

越後の南側は上野国(群馬県)ですが、その先には関東平野が広がっています。

あるとき、関東地方の権力者(関東管領;かんとうかんれい)だった上杉憲政(うえすぎ・のりまさ)という武将が、謙信のもとに助けを求めてきました。

相模国(神奈川県)の戦国大名「北条氏」が北関東へとじわりじわり勢力を伸ばしていて、上杉憲政は関東を追われてしまったのです。

謙信は上杉憲政からの頼みを受けて、関東へと何度も軍を進め、北条氏と戦いました。やがて上杉憲政の跡を継いで、長尾から上杉と苗字が変わったのもこれがきっかけ。

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関東出兵ルート上の温泉

そんな謙信が関東に向けて軍を進めたと思われるルート上にも「謙信の隠し湯」と呼ばれる温泉がいくつかあります。

謙信は自身の住む城、上越市の春日山城から東に進み、越後湯沢あたりから南に下って関東地方に入ったものと思われます。

まず、春日山城と越後湯沢との間、関東出兵のルート上にあったと思われる松之山温泉。謙信の隠し湯のひとつと言われています。春日山城からは50キロ。

続いて謙信の軍は関東に向かって南下していきます。

越後(新潟県)と上野(群馬県)との境目に近い、湯沢町の貝掛温泉もこれまた、謙信の隠し湯と呼ばれる温泉。春日山からは約100キロほど。

ここは後世になって目を洗うと良いとされた「目薬の湯」として有名になります。今も一軒宿「貝掛温泉」が営業しており、温泉で目を洗うことができます。

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そしていよいよ謙信の軍は越後を離れ、関東へ。三国峠を越えてすぐのところにある、群馬県の猿ヶ京温泉(さるがきょう)。

この「猿ヶ京」という名前をつけたのは、謙信だと言われています。

当時、謙信が猿ヶ京温泉に入ったかどうかは分かりませんが、昔からの温泉は今はダムの底。今ある温泉街は、ダム工事の際に移転してきたものになるそうです。

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その他の隠し湯

謙信の生涯は戦に明け暮れていました。関東出兵だけではありません。

越後の南側、信濃国(長野県)を支配していた武将達も、謙信に助けを求めてきました。彼らは甲斐(山梨県)の戦国大名、武田信玄に追われてきたのです。

そこで謙信は軍を信濃に向けて、武田信玄と何度か戦います。有名な、川中島の戦いですね。

また、謙信は晩年になると西に軍を進め、越中(富山県)も支配しました。富山県にも、謙信の隠し湯と呼ばれる温泉があるようです。

謙信から景勝の代へ

後継者争い

戦いに明け暮れた謙信ですが、49歳で死去。次の戦の準備をしているときに急死したと言われています。

生涯独身で過ごした謙信には実の子供がおらず、養子が2人いました。

  • 上杉景勝(かげかつ)。謙信の姉の子供。要は甥にあたる人物
  • 上杉景虎。謙信が関東で戦った、北条氏の人物

謙信が自分の後継者を指名せずに急死してしまったため、この2人の養子の間で後継ぎ争いが起きてしまいます。

この争いに勝って謙信の跡を継いだのは、謙信の甥、上杉景勝のほうでした。

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六日町生まれ

上杉景勝は今の南魚沼市、六日町の出身。彼が暮らしたとされる城跡の近くに、今は六日町温泉が湧いています。

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六日町温泉自体は景勝の時代からずっと後、昭和時代になって開発されたので、おそらく景勝が六日町温泉に入ったわけではないはずですが。

また、景勝の家臣には有名な「直江兼続」がいます。もしかしたら家臣の兼続の方が知られているかもしれませんが、彼も同じく、六日町の出身です。

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やがて景勝は、当時の権力者だった豊臣秀吉に服従し、徳川家康らとともに、五大老のひとりとなりました。

1598年、秀吉の命令で、景勝は長く暮らした越後を離れ、福島県の会津へと移ります。

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米沢藩と赤湯温泉

秀吉の死後、景勝は徳川家康と対立し、家康は自身の住む江戸城から、景勝のいる会津に向かって軍を進めました。

その間に、関西の方で石田三成が兵をあげます。家康は途中で大半の軍を連れて引き返し、三成と戦い、勝利をおさめました。これが関ヶ原の戦いです。

その後家康は江戸幕府を開くのですが、家康と対立した景勝は領地を4分の1に減らされ、今の山形県の米沢藩主となりました。

米沢のあたりも温泉が多いところですが、赤湯温泉には「赤湯御殿」がおかれ、上杉家の藩主が入ったとされています。

山形新幹線の赤湯駅から2㎞ほど離れたところに赤湯温泉の温泉街があり、共同浴場もあります。

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赤湯にはワイナリーもいくつかあり、ワイナリー巡りと温泉巡りの両方が楽しめます・・・当時はまだ、ワインはなかったでしょうけれど。

というわけで

「上杉謙信の隠し湯」と呼ばれる温泉をできる限りまとめてみました。

それでも、謙信の隠し湯というのは正直どこまで確実なものなのか分かりません。

ただ、温泉は謙信が生きていた頃から湧いていて、謙信が戦の合間にひと風呂入ったとしてもおかしくないだろうなとは思います。

こうしてまとめていて、謙信の隠し湯と呼ばれる温泉は山深いところにあるのが多いようです。

そんな山奥のひっそりした温泉だから、謙信がお湯につかった記録も少ないのかもしれません・・・まあ、分かりませんが。

さてさて、時代はすっかり変わってしまったといいつつ、謙信の頃から変わらず残っている温泉も多いわけです。

長い間湧き続けている温泉にちょっと感謝しながら、ゆっくりお湯に入るのもいいかもしれませんね。

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さて、今度はどこへ行こうかな。

 

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