10月14日は「鉄道の日」。この日はあちこちで、鉄道に関するイベントがあったり、特別な列車が走ったりします。
20年以上前の鉄道の日のことなのですが、当時乗り鉄少年だったので、そんなイベント列車に乗っておりました。確か「鉄道の日レトロ号」という名前の列車で。
EF58という古い茶色の電気機関車が、これまた古い茶色の「旧型客車」を引いて、ゆっくりと小田原駅から東海道線を走る…という列車でした。
珍しい列車で、線路沿いで人が手を振っているので自分も車内から手を振り、何だか皇族の人みたいだ、という感想を持ったのを覚えています。我ながらチープな感想…
それはさておき、時代はすっかり流れて21世紀になり。当時乗った旧型客車に再会することができました。
そして、客車を引っ張るのは電気機関車よりさらに昔の蒸気機関車(SL)です。
SL列車「SLみなかみ」(2018年10月現在は「SLぐんま みなかみ」という名前です。)は、群馬県の高崎駅から上越線を走り、水上温泉のある水上駅まで向かいます。
もともとは、単に上越線の沼田駅からバスで行ける温泉「老神温泉」へ行ってみようという計画でした。
ただ、せっかくなので、途中までではあるのですが、沼田駅まで「SLみなかみ」に乗ってみることにしたのでした。人生初の、蒸気機関車。。
旅の計画
ということで、最初は老神温泉ありきの計画でした。
老神温泉は、沼田駅から尾瀬方面に向かうバスが途中に立ち寄る温泉で、尾瀬に山歩きに何度か行っていた頃、バスで温泉街を通るたびに気になっていたところでした。
ただ、ひとり泊で2食事つきのプランをお手頃価格で提供している宿がなく、素泊まりもしくは朝食のみ、というプランの宿が多くて、何となく敬遠していたのです。
まあ、素泊まりでもいいや、と思って、じゃらんnetで素泊まりの宿を予約し、行ってみることにしたのでした。
老神温泉の温泉の良さは定評があるところで、泉質が硫黄泉、というのも、良さそうな感じがしたのです。
沼田駅までは「SLみなかみ」に乗っていくことにしたのは上記の通りです。事前に、指定席券を買っておきました。
1日目(東京→高崎→沼田→老神温泉)
SLみなかみに乗る
天気は晴れ。朝早くの上越新幹線で高崎へと向かいます。今回乗ろうとしている、高崎駅からのSL列車の出発が朝10時前なのです。うん、ちょっと眠い。
SL列車の中でお弁当でも食べようと思い、高崎駅の駅弁、たかべんの鶏めし弁当を買おうと思ったのですが、あいにくまだ売られておらず。
その代わり、駅のホームで「上州D51弁当」などが売られています。気分的には鶏めし弁当が食べたかったので、駅弁はあきらめることに。
高崎駅のホームは結構混んでいます。さすがの蒸気機関車です。写真を撮りたい人多数…
蒸気機関車なので、お客さんは蒸気機関車が引っ張る客車に乗るのですが、その客車も年代物。いわゆる「旧型客車」というタイプで、茶色の古い客車です。
古い蒸気機関車と旧型客車。そう、これはまさに昭和時代の列車なのですね。約20年ぶりの再会です。
指定席に書かれた番号の席に座ります。結構お客さんが乗ってきましたが、自分のボックス席には誰も座らず、ゆったりでした。
大きな汽笛を鳴らして、SL列車はゆっくり走り出しました。蒸気機関車なので、機関車が吐き出したすすが窓から入って来ます。窓の冊子などに少しだけ黒いのがつきます。
最初の停車駅は新前橋駅。ここで、自分のボックスにひとり乗ってきましたが、次の渋川駅で降りていきました。
さて、SL列車は渋川駅で少々長めの休憩を取ります。乗っていたお客さんはみんなホームに出て、SLの写真撮影とかするのでしょう。客車の中はがら空きに。
停車中も煙を吐いたり、汽笛を鳴らしたり、どこかしらのパーツが動いているので、まるで生き物のような蒸気機関車です。
そうして休憩を終えたSLみなかみは、利根川を渡り、山のほうへと登っていきます。
古びたD51蒸気機関車が、ゆっくりですが確実に進んでいます。古い機関車なのに、まだ坂を登る馬力があるのかと感動。
車内はと言えば、さすがのイベント列車。SLグッズを売りに来たり、SLクイズを出していたりで盛況です。
ある程度登り終えたところで、次の沼田駅に到着です。老神温泉に行くにはここで降りることになります。思えばあっけなく短い汽車の旅でした。
老神温泉へ
高崎で駅弁を買わなかったので、お腹が空いています。それで、事前に調べていた駅前のそば屋さんに入り、舞茸天ざるをいただきました。
食事を終えても、老神温泉へ向かうバスの時間まではまだあるので、バスが通る道を少し歩いていき、途中のバス停から乗ることにしました。
沼田の町は中心部と駅とがそこそこ離れています。駅からは結構急な坂を上っていったところに、町の中心部があります。バスも坂を上って中心部を通っていくわけです。
それで、急な坂を歩いて上がってみました。
坂のしんどさにちょっと後悔しましたが、引き返すわけにはいきません。そういや、さっきの蒸気機関車も頑張って登ってたな。
登り切った先の沼田の街はとても静か。商店街もところどころ、昭和の雰囲気が残っています。
途中のコンビニで少し買い物をして、近くにあったバス停からバスに乗りました。
老神温泉方面のバスは、老神温泉の温泉街を経由するバスと経由しないバスがあります。この時は、温泉街を経由するバスに乗れました。
以前、沼田から尾瀬方面に行くときは「椎坂峠」というカーブの多い峠道があったのですが、今はトンネルでまっすぐ抜けていきます。
それもあって、老神温泉までの移動が近く感じました。
老神温泉のバス停でバスを降りると、これまた静かなところ。廃業した旅館やお店が多く、寂しいところではあります。でもこういう場所が好きな自分です。
そう、老神の温泉街には多くのお店「跡」があります。どこの家にも人の気配はあるのですが、お店としては営業していません。
宿で話を聞いてみると、後継者不足が問題で皆さん店を閉めてしまったそうです。
この日泊まった宿も、温泉街と同じく静かなところでした。でもお湯の良さと、宿の奥さんの親切なところはとても気に入りました。
夕食は、温泉街で唯一食事が取れる「ぎょうざの満洲 東明館」へ。ぎょうざの満洲はチェーン店ですが、初めて行きました。安くて美味しくて、満足です。
2日目(老神温泉→沼田→高崎)
翌朝もいい天気です。
老神温泉では、早朝に朝市が開かれています。
素泊まりだったので何か朝食代わりになるものがないかなと思い、浴衣姿で朝市へ行ってみましたが、あいにく野菜や漬物等がメインで、調達はできずでした。
宿の正面にある建物でも何か売りに来ていた様子だったので見に行ってみたのですが、ここも同じくでした。少しお土産を買って部屋に戻ります。
ということで朝は、前の日に沼田のコンビニで買っておいたパン等でしのぎます…
あとは宿をチェックアウトして、温泉街を経由するバスに乗って沼田駅へ戻り、上越線で高崎へ戻っていきます。来たルートと同じですね。
途中、渋川駅に到着する少し前のところで、この日も元気に水上に向かって登っていく蒸気機関車とすれ違いました。この時は、青い客車を引いていました。
今回の旅のまとめ
このときが初めての老神温泉だったのですが、不便ですが静かで良い温泉を気に入ったので、それ以降時々足を運ぶようになりました。
- 高崎駅から水上駅に向かう「SLぐんま みなかみ」は、週末の午前中に出発します。乗る場合は、東京からですと8時台に出る新幹線に乗る必要があります。
- 「SLぐんま みなかみ」の客車は、茶色の「旧型客車」か、青色の「12系客車」のどちらかになります。どちらも昭和時代の貴重な車両です。
- 沼田駅から老神温泉へは、関越交通バスで向かいます。バスの経路と本数に注意。
- 老神温泉にはお店があまりないので、心配であれば沼田等で事前に買い物を済ませておきましょう。
- 老神温泉の泉質はとても良いです。宿によって使っている源泉が違うようなので、入り比べてみるのも楽しいでしょうね。
思えばこの時の温泉旅、温泉もSLも人生初でした。あと、ぎょうざの満洲も。
さて、今度はどこへ行こうかな。