2021年の4月に、静かな温泉旅をしてきました。
旅の計画
「リスク」はできる限り、小さくして出かけることにします。
宿の手配
大前提として「人の動きが少ないタイミング」に「人の少ない温泉地に泊まる」必要があると考えました。
そこで、まずは週末ではない日程にし、大手予約サイトから静かそうな温泉地を選んで空き状況を見ていきます。
週末を外したことで、ひとりで泊まれるプランのある宿が多く見つかりました。
その中で、群馬県の「猿ヶ京温泉」が目に入ってきます。
猿ヶ京温泉は、大手予約サイトからの場合、週末にひとりで泊まれる宿はあまり多くありません。今回は週末ではないので、予約することができました。
その後、もう1泊できることになったので、同じ群馬県の「老神温泉」に泊まることにしました。こちらも、群馬県の温泉地の中では静かな方です。
往復の手配
高崎まで、上越新幹線の指定席を取りました。新幹線であれば、移動時間は短いのでよりリスクは低いかと思い。
上越新幹線と言えば、2階建て新幹線「Maxとき」「Maxたにがわ」が走っています。
この「Max」に使われている車両がそろそろ引退が近いと知って、行きは「Maxとき」、帰りは「Maxたにがわ」を予約しました。
予約した時点では、2階席は半分くらい予約で埋まっていましたが、1階席は空席ばかりでした。これが実際に乗るときにはどうなっているか、ですね。
1日目(東京→高崎→後閑→猿ヶ京温泉)
さよならMax
東京駅の新幹線ホームに上がると、巨大な「Maxとき」がやってきました。引退間近ということで、ステッカーが貼ってあります。
車両のドアが開き、階段を降りて1階席へ。東京駅を出た時点で乗っていたのは3人ほど。上野から1人、大宮からまた何人か乗ってきました。
近くでプシュッ、という音が。他のお客さんが缶ビールを開けて、静かに飲んでいるようでした。
静かに飲む分には問題ないと思っていますが、早くそんなことが気にならない世の中が来るように、とも思いました。
かくいう自分も旅行で新幹線に乗っているので、人のことは言えないのですが・・・
登利平アゲイン
さて、1時間ほどで高崎駅に。
でかいMaxを見送ってから改札を出て、駅ビル内のお土産屋さん「群馬いろは」へ向かいます。夜のお酒と、おつまみになりそうなものを少しばかり購入。
そうしてから、お昼にしましょう。そろそろ11時、駅ビル「高崎モントレー」5階にあるお店がオープンするタイミングです。
開店早々にお店に入って、さっと食べて出ようというわけです。
高崎モントレーで食べられる群馬グルメは、ざっとこんな感じです。
- 大盛りで有名な「高崎パスタ」
- ソウルフード「登利平の鳥めし」
- 日本三大うどん「水沢うどん」
パスタか、鳥めしか・・・迷いつつエスカレーターで上がると、開店前なのにパスタのお店には列ができていました。恐るべし。
ということで、鳥めしをいただきに、登利平へ。お隣の席との距離は十分にあいています。鳥めし御膳(松)と、焼き鳥を注文。
料理を待つ間に次の電車の時刻を調べると、あまり時間がないことに気づきます。ちょっと急いで食べてから、また駅へと向かうのでした。
後閑駅
次の電車は、上越線の水上行き。この電車も空いていました。お腹いっぱい食べたので、座っていると眠くなり・・・
気づくと渋川駅の手前に来ていました。渋川駅を出ると電車は山に入っていき、利根川を鉄橋で何度も渡りつつ登っていきます。
今日泊まる猿ヶ京温泉へは、この先の沼田駅か、その先の後閑駅からバスで向かうことになります。どちらの駅で降りるか迷っているうちに、沼田駅に到着。
もう少し乗ろうと思い、後閑駅で降りました。今回の旅は、いろいろと迷うことが多い気がする。
後閑駅、3年半ぶりです。以前は駅員さんがいましたが、今は無人駅になっていました。
外は雨。次のバスまで小一時間あります。傘をさして駅の近くを散歩してみました。
駅前には、ちょっとだけ有名な「ドイツコーヒーのお店」があるのですが、今は予約のみの営業ということで、入れず。
他には食堂と、たこ焼き屋さん。満腹なのでどちらもパスしました。あとはセブンイレブンがあります。それだけ見て、駅に戻ります。
まだ時間はあります。待合室でのんびり過ごすことにしました。無人駅ですが、待合室はきれいに掃除されていました。
ひとり旅風の人が2人ほど、バスを待っているようでした。やがてバスの時間が近づいてきて、雨の中、駅を出てバス乗り場へ。
バスに乗り、首都圏では見かけなくなった「バスカード」を運転手さんから買いました。3,000円で4,000円以上乗れる、お得なカードなのです。
ただ、このバス(関越交通)でも、2020年からSuica等のICカードが使えるようになっています。このバスカードも、そろそろ見納めかも知れません。
猿ヶ京温泉へ
バスは利根川を渡り、上越新幹線の上毛高原駅へ。誰も乗って来ず、でした。
その後坂を下りて、利根川の支流の赤谷川に沿って走っていきます。
このあたりでは有名な観光地「たくみの里」でひとり、その後、猿ヶ京温泉の手前でもうひとり、バスを降りていきます。
最後のお客さんになった自分も、終点の手前のバス停で降りました。
酒屋さんが開いていたので、中に入って地ビールを購入。キャッシュレスの支払いに対応していました。
猿ヶ京温泉は2度目ですが、前回は宿にまっすぐ向かってしまったので、今回は少しだけ観光してみます。あいにくの雨ですが。
江戸時代、ここ猿ヶ京には関所があったそうです。関所の建物の一部が、今も資料館として残っていました。
中に入り、こたつで温まっていたおばさんに250円を払って見学させていただきます。通行手形、さすまた、大正時代の本など。
外に出ると、まだ小雨が降っています。傘をさそうかどうか、というくらいの。それで、傘はしまって今日の宿まで歩いて行くことにしました。
野天風呂と、耳かきと
今日の宿にチェックイン。2度目の宿泊です。まず検温。宿のおじさんが「36度3分!」と声に出しました。さいわい熱はなかったものの、何だか恥ずかしく。
案内された2階のお部屋は目の前が川と新緑で、山奥に来たんだなと感じます。石油ファンヒーターがついていました。まだ夜は寒いのでしょう。
この宿の名物は、屋外にある「野天風呂」。
さっそく入ってきました。
前回は紅葉の季節でしたが、今回は新緑の季節。
他に誰もいない、自然が近い開放感。この旅に出るまで肩や背中の痛みに悩まされていたのが、スーッと抜ける。
ただ、雨なので頭は冷たい。あまり長く入っていられなかったのですが、それでも幸せなお湯でした。
もうひとつ、ここ猿ヶ京温泉でやっておきたかったことがあります。
それは「床屋の耳かき」。
前回宿泊した時、宿の近くの床屋さんで人生初の「床屋の耳かき」をしてもらったのです。その感動(?)をもう一度、というわけです。
部屋に荷物を置いてその床屋さんに行くと、忙しくされていて、すぐには難しいとのこと。今夜か明日の朝なら、とのことですが、宿の食事の時間と重なっています。
それで、翌日の朝食後にやってもらうことにしました。耳かきの予約だけして宿へと戻ります。何か申し訳ない気分でもあり。。。
宿に戻り、もう一度お風呂へ。今度は1階の大浴場に入ります。ここでも貸切状態でした。お風呂上りに、マッサージチェアという極楽・・・
6時を過ぎ、お部屋で夕食です。地酒が美味しい。お部屋でゆっくり食事ができるのは、本当にありがたいことです。
その後もうひと風呂、そして就寝。
おやすみなさい。
2日目(猿ヶ京温泉→沼田→老神温泉)
猿ヶ京散歩(少しだけ)
4月でしたが、朝はそれなりに寒く。
体を温めようと大浴場へ向かいます。今日はいい天気のようで、展望風呂やロビーからの景色は、山とダム湖と新緑と。
部屋に戻って朝食の後で、昨日予約をした床屋さんへ耳かきに行ってきました。くすぐったくて気持ちいい・・・耳もすっきり。朝からありがとうございました。
宿をチェックアウトしてから、ゆっくり歩き出します。今日は時間があるので、あちこち散歩しながら、次の温泉を目指すつもりで。
宿の方から、川沿いの遊歩道があると聞き、まずはそちらへ。赤谷川を渡り、坂を下っていくと、バス停のある国道へ出ました。
国道の向こうにはダム湖があり、こいのぼりが泳いでいます。
もう少し散歩しても良かったのですが、ほどなくしてバスがやってきたので、反射的に乗ってしまいました。
たくみの里と、湯宿温泉
数分だけバスに乗って「たくみの里」で降ります。
ここ「たくみの里」は、道の駅、飲食店、フルーツ狩り、民芸品などの手作り体験等々、様々な楽しみがある、1日いても飽きなそうなところです。
こちらも3年前に行き、家族で楽しんできたのでした。
まだ午前10時だからなのか、静かです。前回訪問した時、カフェで美味しいバームクーヘンを買ったのですが、そのお店に行ってみたらお休み。残念。
向かいで何となくクレープを食べつつ、さて今度はどこへ行こうかな、と考えて、近くの「湯宿温泉(ゆじゅくおんせん)」まで少し歩いてみることにしました。
湯宿温泉は、三国街道沿いの湯治場として長い歴史があり、個人的にも何度か泊まったことがあります。石畳の道沿いに地元の人向けの共同浴場がある、そんな場所。
たくみの里を後にして、ちょっと薄暗い森の中を下っていきます。また赤谷川を渡り、湯宿温泉を少し散歩。
バス停でひと息ついていると、また次のバスが来ました。意外と本数が多いようです。
乗った時は車内は誰も乗っていませんでした。貸切です。それでも途中のバス停で、地元の人の乗り降りがありました。
上毛高原駅と後閑駅に立ち寄ってから、沼田駅へと到着です。
老神温泉へ
沼田でお昼を食べても良かったのですが、あいにくまだお腹は空いていません。
今日泊まる老神温泉には買い物ができるお店が少ないので、ここ沼田で少しばかり買い物をし、次のバスへと乗り込んだのでした。
この辺りはバスの本数が結構あって、ローカル路線バスの旅がしやすいところです。
乗ったバスは、尾瀬戸倉行き。登山者風の、大きなザックを抱えた人や、恐らく海外出身の二人組が乗っていました。
沼田駅を出たバスは、急な坂を登って沼田の市街地を抜けていきます。
関越自動車道のインターをまたいで、飲食店やリンゴ園が続く国道をまっすぐ走り、長いトンネルを二つ抜けてから、ぐいっと右折して老神温泉へと入っていきました。
老神温泉で降りたのは自分だけ。
昼下がりですが、宿のチェックインは15時です。まだまだ時間がたくさんあるので、ゆーっくりと、老神温泉を歩いて一周してみました。
4月の下旬でしたが、あちこちで山桜が咲いています。2021年は桜の開花が早かったのですが、まだこの辺ではかろうじて咲いているのでした。
ようやく少しお腹が空いてきたので、旅館「東明館」へ。館内に「ぎょうざの満洲」という餃子屋さんが入っています。埼玉県などで見かけるチェーン店だそう。
老神温泉では、ここ以外にお食事ができるお店がほとんどないので、貴重な存在です。
お店に入ると数人が食事していましたが、お昼のピークを少し外したので、やがてお客さんは自分だけになりました。
餃子、チャーハン、生ビール。たくさん飲んで食べたはずなのですが、お会計は1,900円。安い。
食事をしてもまだ時間があったので、温泉街の別な旅館がやっている商店で少しばかり買い物をしてから、今日の宿へとチェックインしました。
今日はこれからとことんゆっくりする、と決めて、温泉に入って部屋でだらだら、という風に過ごしたのでした。
3日目(老神温泉→沼田→高崎→東京)
あさいち
この日は早く起きました。
ここ老神温泉では、朝6時から朝市が開かれていて、地元の方がいろいろなものを売りに来るのです。ぜひ見に行こうと。
さすがに群馬県の山の中、朝は寒く。浴衣の上にダウンベストを着て、その上に丹前を羽織りました。ぱっと見はおかしくないはず、です。
ところが、朝市に行こうとしている人を何人か見かけたものの、浴衣の人は他にいませんでした・・・
さて、朝市会場。お客さんはまばら。
まずは手の消毒をして、ひとつひとつ見て回ります。以前は試食ができたのですが、今は感染症対策から、試食はできません。
お客さんがほとんどいないので、どんどん声を掛けられる・・・売られているのは、漬物、お餅、まんじゅう、りんご、豆、こんにゃく、佃煮などなど。
試食ができないので、説明を聞きつつ選び。群馬名産のこんにゃくと、地元の方が作った自家製ドレッシングを買いました。
素泊まりの人向けに、朝食の代わりになるものが売られていればいいのにな、といつも思うのですが、今回もそのようなものはなく、でした。
朝市の時間帯は、老神温泉名物の「大蛇みこし」を見ることができます。
ギネスに認定されたという「世界最大の祭り用の蛇」。朝市会場を囲むように、ぐるりと展示されていました。
宿へと帰り、ロビーでコーヒーをいただいてから、朝風呂へ。
ぬるめのお風呂に、小一時間ほどじっくり入りました。今後しばらく温泉へは行けないかもしれず、長風呂させていただきました。
素泊まりプランなので、宿の食事はありません。前の日に買っておいた、沼田名物の「みそパン」をお部屋で食べました。
本当は、さっきいただいたコーヒーと一緒にパンを食べたかったのですが、コーヒーはロビーで飲んでくださいとのことだったので、別々に。
温泉を満喫して、チェックアウト。お世話になりました。
歩いてバス停へと向かいます。車で送ってくださると言っていただけたのですが、さほど遠くもないので、歩きました。
旅の終わりに、少し乗り鉄
10分ばかり待って、尾瀬方面からやってきた路線バスに乗車します。尾瀬からの帰りでしょうか、大きなザックを抱えた人もちらほらと。
バスは上越新幹線の上毛高原駅まで行きますが、途中の沼田駅で降りました。15分ほどで電車が来ます。やってきた電車は新前橋行きでした。
その先の高崎まで行きたかったのですが、新前橋駅で高崎行きの電車に乗るか、前橋方面に行く電車に乗るか、車内で考えているうちに、終点へ。
今回は前橋に行ってみることにしました。
次に乗るのは、JR両毛線。約6年ぶりに乗ったようです・・・と言いつつ、お隣の前橋駅で降りました。
前橋駅に降りたのは、10年ぶりくらいだと思います。赤城山に登ったことがあり。
前橋まで来たのは、乗ったことのなかったローカル線「上毛電気鉄道」に乗ってみたかったからなのでした。
JRの前橋駅から少し離れた、中央前橋駅という駅までバスで向かい、上毛電気鉄道の見覚えのある古い電車に乗り込みます。
「サイクルトレイン」というらしく、自転車と一緒に乗れるようです。途中の駅から、地元の学生さんや若い人たちが、自転車と一緒にどんどん乗ってくる。
人と自転車とを載せた電車は、ガタガタと音を立てて高速で走ります。40分ほどで、電車は終点の西桐生駅へ。20年以上前に来て以来です。
桐生と言えば「ひもかわうどん」という、平たくて幅が広いうどんが名物のようです。お土産で買ったことはありましたが、お店で食べてみたくなりました。
食べられるお店をスマホで調べたのですがいまいち土地勘がなくて分からず、観光案内所があれば聞いてみようと思いました。
が、観光案内所を探すのに時間がかかってしまい、さらに、そこで紹介していただいたお店に行ってみると、夜しか営業しない店で・・・。
お腹が空いたのですが、これ以上歩くよりはと、JR両毛線の電車で高崎へと出ました。
高崎へ着くと、結構人がいる様子。おととい断念したパスタ屋さんへ行ってみると、ランチタイムを過ぎていたからか、並ばず入ることができました。
空腹に、アツアツの大盛りスープパスタが美味しい! のですが、ちょっと口の中をやけどしてしまい・・・ヒリヒリします。
長かった温泉旅もそろそろ終わり。あとは夕方の新幹線で帰るだけです。
駅ビルで最後にお土産を買ってから、16時に「群馬の台所」というお店へ入りました。ちょうど16時に、ランチメニューからディナーメニューに変わるのです。
16時という中途半端な時間だったので、お店は空いていました。
一部の席が、窓に沿って対面できない席になり、お隣の席には座れないように、感染症対策が取られていました。
群馬の地酒の呑み比べセットと、舞茸の天ぷらなどを少しいただいて、お店が混まないうちに出ることにしましょう。
今回の旅のまとめ
長くなってしまったのと、今これを書いている2021年5月の中旬が、旅を控えたほうが良さそうな状況になっており、今回はまとめずに終わらせます。
この旅をした4月の下旬は、もう少し状況的には良かったのですが・・・またしばらく、旅はお休みにします。
さようなら、ぐんまちゃん。
今回行った場所
(今回の温泉旅で出かけた観光スポット、お店等のリンクを後日紹介予定です。)
さて、今度はどこへ行こうかな。
(と、言える日が来るのを祈りつつ)