尾瀬は群馬県・福島県・新潟県の境目、標高約1,400メートル(尾瀬ヶ原)の高地に広がる湿原で、夏から秋にかけて、様々な花が咲くところです。
尾瀬の周囲は山々に囲まれていますが、湿原地帯である尾瀬ヶ原は平たんな中を木の道(木道)が通っていて、歩いて回るのが楽しく。
そんな尾瀬へ向かうにはいくつかのルートがありますが、最も利用者の多いのが、群馬県側の「鳩待峠」(はとまちとうげ)から尾瀬に入るルート。
鳩待峠へは、電車と路線バスを乗り継いで向かうことができます。今回は、その路線バスの話をしてみようということです。
途中や終点には温泉もあり、尾瀬を歩く前や歩いた後に温泉宿に泊まったり、温泉に立ち寄ったりすることもできます。もちろん、静かな温泉旅でも。
路線の概要
このバスは群馬県のバス会社、関越交通が運行しています。
関越交通株式会社 | 群馬県 | 渋川市 | 観光バス | 高速バス | 路線バス | タクシー
路線名は「鎌田線」というそうです。このバスが走る片品村の中心部「鎌田」から取った名前化と思われます。
さて、鎌田線のバスはかなり長距離を走ります。途中が終点、という便もありますが、最も長い便で、約55キロの道のり。
最も長い便は上越新幹線の上毛高原駅から、JR上越線の沼田駅を経由して西へと走り、尾瀬のある片品村へと入り、尾瀬ヶ原の入口「鳩待峠行バス連絡所」が終点。
鳩待峠行バス連絡所、という名前が何だかバス停っぽいですが、ここから尾瀬ヶ原の入り口「鳩待峠」への別なバスが出ているわけです。
バス停の名前からは想像しにくいのですが、鳩待峠行バス連絡所は尾瀬戸倉温泉の温泉街にあり、宿が多くあります。
4月下旬から11月上旬の間は、一部の便が鳩待峠行バス連絡所から、さらに先「大清水」まで向かいます。この先には尾瀬沼があります。
さて、バスの走る途中には、このブログでも何度か取り上げてきた老神温泉や、終点にある尾瀬戸倉温泉を含む「片品温泉郷」のような温泉もあり。
ただ、老神温泉に寄るのは一部の便のみで、さらに冬の間はすべてのバスが老神温泉に寄らないので注意です。
所要時間・運賃・本数
この路線バスは季節によって、2パターンのダイヤで運行されています。
- 12月中旬~3月:冬ダイヤ
- 4月~12月中旬:夏ダイヤ
夏は登山客が多く、冬はスキー客が多いのですが雪深いのです。
このページにある情報は、2019年6月現在のものですので、後者の「夏ダイヤ」を紹介しています。
所要時間
このバスには、主に上越新幹線の「上毛高原」駅か、JR上越線の「沼田」駅から乗ることになります。それぞれの駅からの所要時間をまとめてみました。
上毛高原駅へは、上越新幹線「とき」「たにがわ」で。
上毛高原駅から
上毛高原駅からの所要時間は以下の通りになっています。
- 老神温泉近辺まで:約1時間
- 鳩待峠行バス連絡所、大清水まで:約2時間
沼田駅から
上毛高原駅を出たバスは、JR上越線の沼田駅に寄ります。また、ここ沼田駅が始発の便が多く、ここから本数が増えます。沼田駅からの所要時間は、
- 老神温泉近辺まで:約40分
- 鳩待峠行バス連絡所、大清水まで:約1時間30分
となっています。
運賃
続いて運賃です。結構長い距離を走るバスなので、お値段もなかなかのもの。
上毛高原駅から
- 老神温泉まで:1,550円
- 鳩待峠行バス連絡所まで:2,500円
- 大清水まで:2,700円
沼田駅から
- 老神温泉まで:1,150円
- 鳩待峠行バス連絡所まで:2,100円
- 大清水まで:2,300円
関越交通は交通系ICカードが利用可能になっています。(2020年4月~)
本数
次に、1日あたりの本数を紹介してみます。
上毛高原駅から
上毛高原駅発のバスの本数は、さほど多くはありません。
- 老神温泉まで:3本(別途、寄り道しないバスが5本)
- 鳩待峠行バス連絡所まで:7本
- 大清水まで:2本(季節限定)
老神温泉はバスの走る国道から少しだけ離れていて、一部の便が老神温泉に寄り道します。ということで、寄り道をしないバスもあるわけです。
寄り道しないバスに乗った場合は、途中の「大原老神入口」バス停か「下街道」バス停でで降りて2キロほど歩くか、宿に送迎を相談することになります。
なお、冬の間は全てのバスが老神温泉に寄り道しません。
沼田駅から
上毛高原駅を出たバスは、沼田駅に寄ります。また、沼田駅が始発のバスが多く、沼田駅からは本数がぐっと増えます。確かに、沼田駅から乗ってくるお客さんが多い印象。
- 老神温泉まで:7本(別途、寄り道しないバス17本)
- 鳩待峠行バス連絡所まで:17本
- 大清水まで:6本(季節限定)
始発バスの時刻
尾瀬を歩くのは登山のようなもの。ということは、朝早くに歩き始めて午後の早い時間帯にその日の山歩きを終えることになります。
ということで、尾瀬方面(鳩待峠行バス連絡所、大清水)への朝一番のバスは何時ごろ出るのかを調べてみました。(2019年6月現在)
上毛高原駅から
上毛高原を朝一番に出るバスは8:10分発。東京駅から出る朝一番の上越新幹線と接続しています。
- 東京駅6:36→(上越新幹線)→上毛高原駅7:53/8:10→(バス)→鳩待峠行バス連絡所9:58→(バス)→大清水10:10
鳩待峠行バス連絡所からはバスや乗合タクシー等に乗り換えて、尾瀬ヶ原の玄関口「鳩待峠」に向かいます。約40分。
さらに、鳩待峠から尾瀬ヶ原までは徒歩で1時間ほど下っていきます。
ということで、尾瀬ヶ原へは昼下がりに着くことに。この場合は、日帰りだと尾瀬ヶ原での時間はあまり多くは取れませんね。
沼田駅から
朝一番のバスは6:15に沼田駅を出ます。このバスに乗るには、沼田に泊まるしかなさそうです。
- 沼田駅6:15→(バス)→鳩待峠行バス連絡所7:35(終点)
- 沼田駅7:20→(バス)→鳩待峠行バス連絡所8:43→(バス)→大清水8:55
老神温泉から
前泊するなら温泉に泊まりたい、という場合。
先ほど紹介した、沼田駅からの朝早いバスは老神温泉を通らないので、もう少し後の時間帯のバスに乗ることになります。
老神温泉に朝一番にやってくるバスの時刻は、8:42。宿で朝ごはんをいただいてから出発、というでも間に合いそうな時間ではあります。
- 老神温泉8:42→(バス)→鳩待峠行バス連絡所9:33(終点)
これだとお昼前に尾瀬ヶ原に着くイメージですね。東京から朝一番の新幹線で向かうパターンとさほど変わりません。
ということでもし、尾瀬に行くために温泉に前泊するのであれば、バスの終点「鳩待峠行バス連絡所」のそばにある尾瀬戸倉温泉に泊まるのが一番良さそうです。
最終バスの時刻(尾瀬方面)
最終バスの接続はこんな風になっています。
上毛高原駅・沼田駅から老神温泉
老神温泉に寄る最終バスは17時に上毛高原駅を出て、沼田駅を通ります。
- 東京駅15:40→(上越新幹線)→上毛高原駅16:46/17:00→(バス)→沼田駅17:26→(バス)→老神温泉18:03→(バス)→鳩待峠行バス連絡所18:49
上毛高原駅・沼田駅から鳩待峠行バス連絡所
- 東京駅16:40→(上越新幹線)→上毛高原駅17:47/17:53→(バス)→沼田駅18:21→(バス)→鳩待峠行バス連絡所19:42
この時間帯は、鳩待峠に向かうバスや乗合タクシーは走っていないので、尾瀬戸倉温泉で一泊することになるでしょうね。
最終バスの時刻(沼田駅、上毛高原駅方面)
最後に、尾瀬を歩いた後で帰るときのバスの時刻も載せておきます。
上毛高原駅行き
バスでそのまま上毛高原駅に行き、そのまま上越新幹線で帰りたい場合、鳩待峠行バス連絡所を15:12に出るバスが最終。その日の夜に東京まで戻れます。
- 大清水15:00→(バス)→鳩待峠行バス連絡所15:12→(バス)→沼田駅16:29→(バス)→上毛高原駅16:58/17:26→(上越新幹線)→東京駅18:40
沼田駅行き
手前の沼田駅までであれば、もっと遅くまでバスがあります。
- 鳩待峠行バス連絡所19:49→(バス)→沼田駅21:08/21:30→(JR上越線)→高崎駅22:21/22:34→(新幹線)→東京駅23:24
沼田駅からは高崎に出て、まっすぐ東京まで一応帰れるようになっています。かなりしんどいと思いますが・・・
乗ってみた
では、ちょっと長旅ではありますが、乗ってみることにしましょう。
上毛高原駅~後閑駅~沼田駅
上毛高原駅を出てすぐのところにバス乗り場があります。
駅には、駅のコンビニNEWDAYSと、駅前のお土産屋さん、立ち食いソバのお店があるだけですが、この先もあまり買い物できる場所はないので、済ませておきましょう。
上毛高原駅を出たバスは坂を下りて利根川を渡り、JR上越線の後閑駅に寄ってから、のんびりと線路に沿って走り、沼田駅に到着です。
沼田駅~老神温泉
沼田駅の駅前には、そば屋さんや喫茶店、お土産屋さんやコンビニがあります。乗る前にここでお買い物を済ませておきましょう。
バスは駅を出てすぐに急な坂を登ります。登った先は沼田市の中心部。
そう、沼田市は市の中心部と駅とが離れています。坂を登った後で振り返ると、駅がちっぽけに見えるくらいに標高差があります。
バスはのんびりと沼田の市街地を抜けていきます。関越自動車道の沼田インターチェンジをまたぎ、あとはしばらく国道120号線を道なりに。
この道沿いには結構飲食店が多く、そば屋、うどん屋、沼田名物のトンカツ屋など、いろいろと食べることができそう。
と言いつつバス旅なので、我慢して先に行きましょう。まあ、このあたりはバスの本数も多いので、途中下車して食事してから次のバスに乗ってもいいかも知れません。
右側には赤城山が見えます。あとは、リンゴ園も多いですね。
「塩の井」バス停のそばに道の駅白沢があります。
バスだと通り過ぎてしまいがちですが、日帰り温泉「望郷の湯」や売店、レストランもあって、ここで休憩したことがあります。大雨でしたが・・・。
学校を横目に少しずつ坂を登っていき、やがてバスはトンネルへ。
この椎坂トンネルは2013年に開通しました。開通前、バスは峠をくねくねと越える道を走っていたのですが、トンネルの開通で、かなり所要時間も短くなっています。
2本のトンネルを抜けて下り坂になり「大原老神入口」というバス停があります。
老神温泉に向かうバスはここから国道をそれて右に曲がり、細い道を下っていきます。
その先に静かな老神温泉があります。バス停は温泉街の入り口のあたり。
すぐそばには、ギネス認定された「大蛇みこし」が保管されています。ご乗車お疲れさまでした。
さて、バスは温泉街の中へは入らずに左に曲がり、いくつかの旅館を横目に老神温泉の脇を走り抜けて、先ほどまで走っていた国道と合流します。
老神温泉~鎌田
話を、老神温泉の入り口に戻しましょう。
大半のバスは先ほどの「大原老神入口」バス停を出てからまっすぐ進みます。その後「下街道」バス停で合流し、また道なりに進んでいきます。
橋を渡って緩やかな坂を上った先に「吹割の滝」があります。
東洋のナイアガラ、と呼ばれる有名な滝で、駐車場とお土産屋さんが並ぶ、観光地っぽさのある場所です。ここで途中下車するのもいいかもしれません。
さらにバスは道なりに緑の中を走っていきます。
建物が増えてきたところで、鎌田バス停。半数くらいのバスがここ鎌田止まりです。ちょうどこの辺りが、片品村の中心部。
鎌田バス停からは、県境を越えて栃木県の日光方面に向かうバスに乗り換えることができます。季節限定で、2019年は5月から10月27日までの運行になるようです。
鎌田~鳩待峠行バス連絡所
これまでバスは国道120号線を走ってきましたが、ここから先は国道401号を走っていきます。大きな橋を渡り、片品川沿いを進んでいきます。
スキー場の看板を多く目にするようになりますが、このあたりが土出温泉(つちいでおんせん)。片品村にある片品温泉郷のひとつです。
土出温泉を抜けて、さらに坂を登った先、尾瀬戸倉温泉へと入っていきます。道の両脇に宿やお店が並びます。
バスの終点「鳩待峠行バス連絡所」は、温泉街の先のほうになります。ご乗車お疲れさまでした。
ここからは、尾瀬の玄関口のひとつ、鳩待峠行きのバスや乗り合いタクシーが頻繁に出ています。窓口があるので、尾瀬方面に行かれる場合は乗車券を買いましょう。
季節によっては一部の便がさらに先の大清水まで向かいますが、あいにく自分も鳩待峠行バス連絡所までしか乗ったことがなく、ご案内はここまでとさせてください。
さて、今度はどこへ行こうかな。