ここ何年間か、秋の終わりになると福島県のいわき湯本温泉へ出かけています。
理由はいくつかあるのですが、2021年も秋の終わりに、いわき湯本温泉に出かけたくなり、4年連続4回目の、いわきへ。
「4年連続4回目」というと、何だか甲子園に出る高校のような響きではありますが、まあとにかく、出かけてみました。
旅の計画
まず、いわき湯本温泉に何度も出かけている理由から。
- 交通の便の良さ。東京駅から、温泉の最寄り駅、湯本駅まで特急列車で乗り換えなし。さらに駅から温泉街までは歩いて行けます。
- 穴場感。どちらかと言えば、観光よりビジネスで行くエリアなのではないかと思います。観光客も少なく、静かで落ち着いた感じ。
- 町中にある温泉街。最近、山奥の温泉より、町中にある温泉が好きです。買い物や食事に便利なんですよね。
- 温泉神社。いわき湯本温泉には「温泉神社」があります。温泉好きで、神社もちょっと好きな自分にとっては、スペシャルな存在です。
手配はシンプルに。往復の特急「ひたち」の乗車券・特急券と、過去にお世話になった宿とを予約します。
それ以上の調べ物をする余裕がないまま、出発の日を迎えました。
1日目(品川→いわき→いわき湯本温泉)
ひたち
朝の品川駅は久しぶり。ここ品川も、旅行の出発地というよりビジネスの雰囲気がするのは自分だけでしょうか。
品川駅は、駅ナカのお店が充実しています。朝ごはんがまだだったので、パンとコーヒーを買いました。
パン屋さんも多数。せっかくなので、地元品川(厳密には、少し離れた天王洲)にあるパン屋さんのパンを見つけて、クロックムッシュを購入。
コーヒーは、茨城県で有名な「サザコーヒー」の「将軍カフェラテ」にしました。これから乗る特急「ひたち」は、茨城県を通ります。
ホームで列車を待っていると、品川止まりの特急列車がやってきて、結構なお客さんが降りていきました。
この列車が降り返して、いわき行きの「ひたち」になります。
車内の整備が終わり、乗り込みます。お客さんは数人ほどですが、東京駅や上野駅で乗ってくるはず。
さて、将軍カフェラテとクロックムッシュの朝食です。ちょっといいお値段がしたのですが、さすがの美味しさ。
特急ひたちはいつの間にか品川駅を出ていて、ゆっくり走って次の東京駅に到着しました。ここで少しお客さんが乗ってきます。
東京駅を出るとぐぐっと坂を登り、秋葉原の手前でぐぐっと下り、次の上野駅へ。ここからもお客さんが結構乗ってきて、4割くらいの乗車率に。
上野駅を出て、鶯谷駅のあたりで特急草津が横を走りぬけていきました。
以前は、あちらの「草津」の車両が、こちらの「ひたち」だったのですよね。
しばらく、隣から他の線路が近づいてきたり遠ざかったり、くぐったり。普段乗らない常磐線なので、どれがどの路線かは分かりませんが、せわしなく、面白い。
さて、それまで「ひたち」はゆっくり走ってきましたが、やがてスピードをぐっと上げます。千葉県に入り、柏を過ぎて利根川を渡り、やがて筑波山が見えてきました。
郊外の景色が続きますが、少しずつ田畑が増えてきます。それでも、人口が多いエリアなのでしょう、家は多いです。
ここで、車掌さんのアナウンス。「レンコン畑の向こうに筑波山が見えます。常磐線を代表する車窓です。」
筑波山は猫の耳が二つあるように見えます。こちらは走る電車の中から見ているので、猫耳のシルエットも、少しずつ変わっていくようです。
筑波山が見えなくなり、特急ひたちは茨城県内を走ります。
またアナウンスがありました。「まもなく水戸、日本三大庭園の「偕楽園」と千波湖があります」とのこと。確かに左は偕楽園、右は湖が見えます。
水戸駅で少しお客さんが降りました。あと1時間くらいで、終点のいわきです。
列車を降りてからどこに行くかは、まだ決めていません。
スマホで、いわき市の観光情報やバスの時刻表を見つつ、どこに行くか調べ物を開始。最近は、こんな感じで出かける前に計画も立てられない状態です。
ちらり、時々海が見えます。あいにく山側の席に座っているので海はよく見えません。海側に座っているお客さんが多いのは気のせいでしょうか。
いつの間に勿来(なこそ)駅に着いていました。ということは、みちのく、東北地方に入ったわけです。ようやく調べ物もひと段落。
あみだ
勿来からは割とすぐ、終点のいわき駅へ到着です。
ここからすぐバスに乗り換えました。市内にある国宝のお寺までバスで向かうことにしたわけです。このバスを逃すと、次のバスは2時間後。貴重です。
バスの乗客は自分含め、2人だけ。古びたバスはいわきの市街地を抜け、常磐線の線路をまたいで、のどかな郊外へ。
・・・と思ったら、バスの運転手さんが道を間違えたらしく、途中でUターンして、また違う道へ。その後すぐに、バスを降りました。
のどかな道を歩いた先に橋があり、渡った向こうに、国宝の「白水阿弥陀堂」があります。日曜で、少しはお客さんが来ていますが、静か。
池の向こうに、阿弥陀堂があります。拝観料を払い、さらに先へ。平安時代の末期に立てられたという、長い歴史のあるお堂でした。
阿弥陀堂自体はこじんまりしていたので、少したたずんでから、戻ることにします。
次のバスまで、2時間待ち。歩くことにしました。
2キロほど離れたところに、JRの内郷(うちごう)駅があります。そこから電車かバスで、いわき駅に戻る計画です。
Googleマップを頼りに駅を目指していきました。順調だな、と思って、線路が見えたところで電車に抜かれてしまいました。無念。。次の電車は1時間後のよう。
駅の近くにはバス停があります、バス停に行って時刻表を見ると、バスもそこそこ待つようです。
ただバス停で待っているのもあれなので、いわき駅方面に向かって歩くことにしました。歩いて歩いて、少し先のバス停に行ければ、待ち時間は短くなります。
10分ほど歩いていると、回転寿司のお店を見つけました。地元のチェーン店のようです。きっとおいしいに違いない、歩くのをやめて入店。お腹もすいたし。
どんこ、サーモンではなく銀鮭、赤海老・・・どれも身に弾力があって美味しく。。昼から幸せに、いろいろと食べてしまいました。
海の近いエリアなので、きっと魚も美味しいのでしょう。ごちそうさまでした。
ゆもと
お昼をゆっくり食べたので、いわき駅に戻らずに、いわき湯本温泉までバスで行くことにしました。また少し歩いてから、やって来たバスに乗ります。
バスは常磐線の線路を挟んで、いわき湯本の温泉街とは反対側を走っているようです。バスを降り、橋で線路をまたいで、4度目のいわき湯本温泉へやって来ました。
チェックインの15時までは、まだ時間があります。
まずは温泉神社にお参りしましょう。旅の無事と、家族の健康、静かな温泉旅のブログの繁栄(温泉神社なので)を祈り。
ちょうど1年前にいただいたお守りをお返しし、新しいお守りをいただきました。1年に1回、これをやらないと気が済まないというか。
その後、少し歩いて喫茶店に入りました。さんざん歩いたので結構汗をかいており。アイスコーヒーを注文したら、凄い量のがやってきました。
飲み干してから、宿へ。
今回は2階の広い部屋でした。畳を数えてみたら、何と16畳もあり。事前に敷いてもらっていた布団が小さく見えます。
ひと風呂浴びて、夕食を食べに行きます。この宿は夕食が付かないので、外で何か好きなものを食べに行くことになります。
毎年、食べに行くお店は決まっています。我ながら本当にワンパターンで、泊まった宿も同じ宿、食べに行くお店も同じお店。
お店の名前が「十八番」なのは、偶然でしょうか。いわきの地酒、浜通りの地酒、焼鳥、目光(めひかり)のお刺身。
宿に戻ってまたひと風呂。マッサージチェアで体をほぐし、おやすみなさい。
2日目(いわき湯本温泉→東京)
アロハ
目が覚めると、自分が今、静かな温泉旅に出ていたのを思い出します。
そうか、無理して早起きする必要ないんだな、と理解して、少しの間、布団でダラダラと。そうしてから、朝風呂へ。
やっぱり、朝の少し空気が冷たい中で入る温泉が、一番気持ちがいいものです。窓の外、今日も晴れのよう。お風呂上り、体がすっと軽くなったのを感じます。
部屋に戻って着替えてから、少し遅めの朝ごはん。
1階の奥のほうにラウンジがあり、そこで宿のおかみさんに朝食券を渡します。この宿、喫茶店風の朝ごはんがちょっとした名物なのです。
それを気に入り、3度目の宿泊でした。
煮物や松前漬けの和のおかずと、オニオンスープにスクランブルエッグという洋のおかず。主食は、パンとごはんの好きな方を。
静かに流れてくる音楽はハワイアン、おかわり自由のコーヒーは、ハワイコナブレンド。「スパリゾートハワイアンズ」のあるいわき湯本温泉ならではですね。
和洋のおかず、音楽とコーヒーはハワイ、いろいろですが、どれも調和していて違和感がないのが、ちょっと不思議と言えば、不思議です。
朝食をゆっくりいただくのは、幸せ。時間もゆっくり流れていきます。
女将さんと少し話をしました。ここいわき湯本温泉も、以前は大型バスが多く走っていたのが、感染症の流行でお客さんは減ったそう。
ただ、他の温泉街と違って、大きな宿が廃業して廃墟が残る、ということがないようです。割と小規模の宿が多い温泉街みたいですね。
また、飲食店が多いのがいいところだというお話でした。確かに、宿以外で食事の選択肢がいくつもある温泉街は、便利ですよね。
部屋へ戻って10時前までのんびりしてから、チェックアウト。また1年後、泊まりに来れたら、と思います。お世話になりました。
ほるる
さて、少し歩いて「いわき市石炭・化石館 ほるる」へ。有名な観光スポットですが、これまで行ったことがなく。
閉店したお店のある静かな通りを歩いて、常磐線の線路を踏切で渡った向こうに「ほるる」がありました。平日ですが、そこそこお客さんが来ているようです。
入ってすぐのところには、いわきと世界の化石が展示されています。大きな恐竜が何体も。。
その後で地下に降り、かつていわきにあった「常磐炭鉱」の歴史の展示を見学します。暗いトンネルの中、穴を掘り、穴を掘り。
古くから温泉が湧いていたいわきですが、近代に入り石炭の生産が盛んになります。やがて石炭から石油の時代になり、観光の温泉街へと変わっていくわけですね。。
今は感染症の影響で観光も大変な時代ですが、いわきがもっと観光で賑わえばな、と思います。
ちょっと穴場的な今の感じも好きではあるものの、それは旅行者のわがままということで。。
ラトブ
さて、そろそろいわき駅に行こうと思います。次の電車までは待つようだったので、バスに乗って行くことにしました。
バスは昨日通った道を走り、いわき駅に戻ってきました、帰りの特急列車の出発までは、1時間ちょっとしかないようです。
駅の観光案内所で話を聞くと、今はアンコウ鍋の季節だそう。そそられつつも、お昼から食べられそうなお店はちょっと駅から離れている模様。次回の宿題ですね。。
ということで、駅前の商業ビル「ラトブ」の1階にあるお寿司屋さんへ入ります。2日連続のお寿司ではありますが・・・。
ここもまた、地元でとれた「常磐もの」の白身魚が美味しく。。塩でいただきます。「会津山塩」という、会津の温泉水を煮詰めて作った塩だそうで。
食後に近くの喫茶店でコーヒーをいただいてから、お土産を少し買います。会津の白ワイン(シャルドネ)、銘菓「ままどおる」、南相馬の「チーズの味噌漬け」等々。
駅に戻って改札をくぐると、帰りの特急「ひたち」はもうホームで待っていました。
海側の席でした。海を眺めつつ、帰ろうと思います。
今回の旅のまとめ
4年連続4回目、秋の終わりの、いわき湯本温泉に出かけてきました。
だいぶ歩いて回ったからか、あまり寒さを感じませんでした。いわき市は海沿いにあって、東北地方の中でも温暖な気候だといいますが。
海沿い、と言えば、過去のいわき湯本への旅で地元のお魚をあまり食べてこなかったので、今回はお寿司屋さんで、いわきの地酒と一緒に堪能してきました。
いわき湯本温泉。東京からまっすぐ2時間半という距離で、温暖な気候で、そこそこ大きな町があって、豊富な温泉が湧いている。お酒もお魚も美味しい。
いいところだと思うので、世の中にたくさんある温泉ブログの隅っこで、静かにいわき湯本温泉の良さを書いてみました。
今、ネットで見つけたハワイアン音楽をかけながら、ゆっくり書いています。
また温泉神社へお守りをお返ししに行くと思います。また来年。
今回行った場所
今回の温泉旅で出かけた観光スポット、お店等のリンクです。リンク切れがありましたらご容赦ください。
観光スポット
白水阿弥陀堂
平安時代末期に建てられたお堂(国宝)。本数は少ないながらも、路線バスで行くことができます。
温泉神社
いわき湯本温泉の温泉街の脇にある神社です。
いわき市石炭・化石館 ほるる
いわきの炭鉱の歴史や化石の展示があります。
2024年1月現在、工事のため閉館中ですが、2024年春の再開予定となっています。
お土産・飲食店など
源洋丸
いわき市内に何店舗かある回転ずしのお店。JR内郷駅の近辺を歩いていて偶然見つけて入りましたが、やっぱりお魚が美味しかったです。
寿司 おのざき
いわき駅前の商業ビル「ラトブ」1階にある、魚屋さんがやっている寿司屋さんです。常磐もののお魚と、福島の地酒を楽しめます。
天都居
湯本駅前の喫茶店。店名は「アドリブ」と読むそうです(!)。コーヒーをいただきましたが、食事も美味しそう。
ブレイク
いわき駅からすぐ、商業ビル「ラトブ」のお隣の喫茶店です。
やきとり十八番
いわき市内に何店舗かある焼鳥屋さん。会津やいわきの地酒と、郷土料理がいただけます。
ラトブ
いわき駅前の商業ビル。スーパー、お寿司、カフェ、お土産等が揃います。
さて、今度はどこへ行こうかな。