首都圏から関東近郊の温泉に向かう特急列車はいくつかあります。
- 修善寺温泉など、伊豆方面の温泉地に向かう「踊り子」
- 栃木県の鬼怒川温泉に向かう特急「きぬ」
- 山梨県の石和温泉方面に向かう特急「かいじ」
- 群馬県の草津温泉方面に向かう特急「草津」
今回は4の特急「草津」について書いてみます。
列車の名前は「草津」ですが、列車の走る沿線には草津温泉以外にも有名な温泉地があり、草津温泉以外の温泉に向かうのにも便利な列車になっています。
なお、2023年3月から列車名が「草津・四万」に変わります。確かに、四万温泉の最寄り駅、中之条駅にも停車する列車です。
草津号の概要
特急「草津」は、東京都の上野駅と、群馬県の「長野原草津口」駅とを結んでいます。
停車駅
「草津」は、今となっては数少なくなった上野駅始発の特急列車です。
上野駅を出ると、赤羽、浦和、大宮、熊谷、高崎、新前橋、渋川、中之条駅に停車し、終点が、長野原草津口駅。
渋川駅は伊香保温泉の玄関口で、中之条駅は四万温泉の玄関口です。
以前はもっと多くの駅に停車していたのですが、2017年のダイヤ改正で停車駅がかなり少なくなりました。
所要時間
所要時間は以下の通りです。
- 上野~渋川:約1時間40分
- 上野~中之条:約2時間
- 上野~長野原草津口:約2時間20分
首都圏から伊香保温泉や草津温泉へ向かう高速バスもありますが、高速バスは渋滞で遅れるのが心配です。その分「草津」に乗れば、渋滞の心配はありません。
ただ、温泉街まで直行する高速バスと違って「草津」の場合、最寄り駅から地元の路線バスに乗り換えて温泉に向かうので、乗り換えの手間はあります。
本数
平日と土日・祝日とで本数が変わります。草津温泉に行くお客さんが土日・祝日に増えるのでしょうか。
- 平日:1日2往復
- 土日・祝日:1日3往復
また、上記以外に臨時列車が走ることもあります。
運賃・料金
上野から主な駅までの乗車券・特急料金の合計は以下の通りです。
(指定席利用、ICカードの場合です)
- 上野~渋川:3,670円
- 上野~中之条:4,000円
- 上野~長野原草津口:5,370円
インターネット予約で割引になる「トクだ値」もあり、上記の値段から約20%~40%オフになります。(2021年10月現在)
長らく「草津」にはトクだ値の設定がなかったのですが、2020年から設定されるようになりました。感染症の流行で、列車の利用者が減ったこともあるのでしょうか。
ICカード
特急「草津」が停車するすべての駅ではSuicaのようなICカードが使えるので、「草津」だけに乗るなら、ICカードと紙の特急券で乗ることができます。
(2021年現在、「草津」は特急券のチケットレスサービス対象外になっています)
ただ、渋川駅から先、JR吾妻線(あがつません)に入ってから「草津」が止まらない駅ではICカードがほぼ使えません。
吾妻線でICカードに対応している駅は、以下の3駅のみです。
- 中之条駅(「草津」の停車駅)
- 長野原草津口駅(「草津」の停車駅)
- 万座・鹿沢口駅(「草津」の行かない駅)
そのため、例えば小野上温泉駅や川原湯温泉駅といった駅で降りる場合は、ICカードの利用できる改札機がないので、紙のきっぷが必要です。
「草津」を途中の駅で降りて、普通列車に乗り継いでほかの駅で降りる予定の人は、あらかじめ紙のきっぷを買っておきましょう。
車両
車両は、651系電車が使われています。以前は常磐線で「スーパーひたち」として走っていた電車なので、見覚えがある、という方も多いのではないでしょうか。
7両編成で、普通車(指定席・自由席)と、グリーン車(指定席)があります。人気の列車なので、できれば指定席を予約しておいた方が安心かもしれません。
なお、車内販売はありませんので、お買い物は乗る前に。
草津号に乗ってみた
上野~高崎
「草津」は、上野駅から発車します。
651系電車はデビューから20年以上経過していて、トイレとか走行中の揺れで、ちょっと古さを感じます。
ですが、座席はしっかりとしたつくりで、座り心地は良いです。
上野駅を出た「草津」はまず赤羽駅に止まり、それから埼玉県へ。埼玉県内は、浦和駅、大宮駅、熊谷駅に停車します。
埼玉県の次はいよいよ群馬県に入り、まずは高崎駅に到着です。
高崎の駅ビルでの買い物が好きなので降りてしまいたくなりますが、温泉を目指すなら我慢してそのまま乗っていきましょう。
高崎~中之条
高崎駅の次は、新前橋駅。
以前は、水上温泉に向かう特急「水上」という列車がありました。「水上」は「草津」と繋がった形で、1本の列車としてここ新前橋まで一緒に走っていたのです。
「草津」と「水上」は新前橋駅で切り離されて、それぞれが草津方面、水上方面へと別れていくのでした。今となっては昔の話・・・
さて、新前橋の次の渋川駅では、伊香保温泉に行く人が降りていきます。渋川駅は、伊香保温泉の玄関口。
伊香保温泉へは、路線バスで30分ほど。本数も多いです。
渋川駅では、上越線と吾妻線とが分かれます。「草津」は左にそれて、吾妻線へと入っていきます。
吾妻線は単線のローカル線。少し車窓がのどかになり。
「草津」は上越新幹線の橋の下をくぐり、やがて吾妻川と国道と一緒になって登っていきます。国道沿いはお店が多そうで、車の旅の方が楽しそうではあります。
吾妻線に入って最初の停車駅は、中之条駅。ここでは四万温泉や沢渡温泉に行く人が降りて行きます。
四万温泉・沢渡温泉へ行く場合は、関越交通バスに乗り換えます。バスは「草津」を降りてバスに乗るお客さんを待ってからの出発。
中之条~長野原草津口
中之条駅の次は、いよいよ終点の長野原草津口駅です。
2017年のダイヤ改正まで「草津」は群馬原町駅と川原湯温泉駅にも止まっていましたが、ダイヤ改正後は、草津号は両駅を通過するようになりました。
そんな群馬原町駅を通過してから「草津」は白くて新しい橋を渡り、長いトンネルに入ります。
このあたりは八ッ場ダムの建設でルートが変わったところ。
ダムができると線路の一部が水没してしまうため、そこを避けて、新しく橋をかけてトンネルを掘ったそうです。
トンネルを抜け、以前は停車していた川原湯温泉駅を通過。川原湯温泉駅は、ダム工事で水没するところにあったので、駅の場所が変わったそうです。
温泉街も駅と一緒に移ってきたはずなのですが、車窓からはよく見えず。
ちなみに、移転前の川原湯温泉駅は、こんな木造の建物でした。
川原湯温泉駅を出るとまたトンネルに。抜けるとすぐ橋を渡って、終点の長野原草津口駅に到着です。
以前はその先の「万座・鹿沢口」駅が終点でしたが、今はここ長野原草津口駅でおしまいです。電車もここで、一休み。長らくのご乗車、お疲れさまでした。
草津温泉へは、ここからバスに乗り換えます。係員の方が、駅を降りて草津温泉に向かうお客さんをスムーズに案内し、バスはどんどん発車していきます。
というわけで
首都圏から群馬県の草津温泉、伊香保温泉、四万温泉等に向かうのに便利な特急「草津」のご紹介でした。
以前は人気の列車というイメージで、指定席を取るのも難しいところがあったのですが、感染症が流行して、今はその辺りは変わったのかも知れません。
首都圏から草津、伊香保、四万の各温泉へは、まっすぐ向かえる高速バスも便利ですが、高速道路の渋滞のストレスがない「草津」の旅もいいものです。
さて、今度はどこへ行こうかな。