長野県の諏訪・塩尻・松本方面に行きたい場合、交通手段を高速バスとJRの特急と、どっちにするかかなり迷って、JRの特急「あずさ」に決めることが多いです。
今回は、そんな特急「あずさ」についてまとめてみます。
有名な列車なので皆さんご存知だとは思いつつ、静かな温泉旅のブログなり、特急「あずさ」で行ける温泉のことも書きつつ、まとめてみることにします。
あずさ号の概要
特急あずさ号(以降、このページでは「あずさ」と書きます)は、主に新宿駅を出発して、長野県の松本駅まで向かいます。
主に、と書いたのは、千葉駅や東京駅から出発する「あずさ」もあれば、松本からさらに先、大糸線の南小谷(みなみおたり)まで行く「あずさ」もあるから。
停車駅
多くの「あずさ」の停車駅は、新宿を出ると立川、八王子、甲府、茅野、上諏訪、岡谷、塩尻、松本です。
それ以外の駅に停車する「あずさ」もあります。太字の駅には、全ての「あずさ」が停車します。
上諏訪駅は上諏訪温泉の、下諏訪駅(一部の「あずさ」のみ停車)は下諏訪温泉の最寄り駅。
終点の松本駅からは、路線バスなどに乗り換えて、松本市内にあるあちこちの温泉に行くことができます。
列車によって停車駅が異なるので、降りたい駅を通過してしまう「あずさ」に乗らないように注意が必要です。
所要時間
新宿駅から主な駅までの所要時間は、以下の通りです。
- 新宿~甲府:約1時間半
- 新宿~上諏訪:約2時間強
- 新宿~松本:約2時間半~3時間弱
停車駅が列車によって多かったり少なかったりするので、松本までの所要時間は列車によって差が出てきますね。
本数
「あずさ」は概ね1時間に1本走っています。途中の甲府まで行く特急「かいじ」と合わせると、本数は30分に1本という多さに。
「かいじ」のことは、以下のリンク先で同じようにまとめています。
運賃・料金
新宿から主な駅までの乗車券・特急料金の合計は以下の通りです。
(普通車の、スタンダードな料金です)
- 新宿~甲府:3,890円
- 新宿~上諏訪・下諏訪:5,980円
- 新宿~塩尻・松本:6,620円
この料金はあくまで目安で、条件によっては高くなったり、安くなったりします。
- 特急券を買わずに列車に乗って、列車の中で車掌さんから特急券を買うと割高になります。
- インターネットで「えきねっとチケットレスサービス」を使い、ネットで特急券を買うと、割引になります。
- インターネット予約で割引になる「トクだ値」というサービスがあり、定価から約10%~30%程度安くなります。
- 「あずさ」にはグリーン車もあります。グリーン車に乗る場合は、追加でグリーン料金がかかります。
ICカード
新宿から松本の間の全ての「あずさ」停車駅で、Suica等の交通系ICカードが使えます。
乗車券をICカードにして、特急券をチケットレスサービスで購入すれば、紙のきっぷを持ち歩く必要がなくなり、便利ですね。
なお、1日1往復だけ、松本から先の「南小谷(みなみおたり)」駅まで運転する「あずさ」がありますが、松本と南小谷の間はICカードには対応していません。
「あずさ」で松本駅から先まで乗るときは、紙のきっぷを購入しましょう。
車両
「あずさ」には、E353系という比較的新しい車両が使用されています。
座席の上にランプがついています。
もし、乗る前に特急券を買わず、座席指定をしなかった場合は、赤いランプのついている座席(他の人が予約していない席)に座りましょう。
あずさ号に乗ってみた
ということで、新宿駅から「あずさ」に乗ってみましょう。
新宿~八王子
「あずさ」は、新宿駅の9番線・10番線から出発です。
駅のホームに売店があります。「あずさ」には車内販売もありますが、乗る前に駅で食べ物や飲み物を買っておいてもいいでしょうね。
さて、新宿駅を出た「あずさ」は、最初は街の中をゆっくり走ります。
新宿から八王子の少し先(高尾)までは通勤電車が多く走っているので、追い越したりするのが難しいのでしょうね。
「あずさ」は高架の少し高いところから街を見下ろしつつ走り、やがて郊外に出て、まず最初の停車駅は、立川。(通過する列車もあります)
その次は八王子駅に停車します。
八王子~甲府
八王子を出ると、車掌さんから八王子駅から先の停車駅と時刻の案内放送があって、「あずさ」は徐々に山へと入っていきます。
窓の外、お隣を大掛かりな中央自動車道が並んでいます。
週末なら、あちらは渋滞しているんだろうな、とか思いながら車窓から眺めると、ちょっとだけ優越感を味わえるかもしれません。
東京都を出て、少し神奈川県をかすめてから、いよいよ山梨県へ。山の中、トンネルが多い区間へと入ります。
以前はトンネルの中でスマホが圏外になってしまい、車内でネットをやるには不向きだったのですが、今はJRのフリーWi-Fiがあってネット環境も充実しています。
まあ、せっかくの温泉旅なので、スマホなんて見てないで車窓でも眺めましょう。トンネルの中は真っ暗ですが。
山を越えて甲府盆地に出るとトンネルはなくなり、窓から見えるのはブドウや桃の果樹園。
ほとんどの「あずさ」は、八王子から甲府までノンストップで一気に行きます。
甲府~上諏訪
そして甲府駅。連休や行楽シーズンは満席になることの多い「あずさ」も、甲府駅でどどっと人が降りるので、甲府駅から先は結構空いています。
甲府駅を出ると、多くの「あずさ」が韮崎駅や小淵沢駅に停車します。それらの駅を通過して、一気に長野県に向かう列車もあります。
この区間、まず車窓の右側に八ヶ岳っぽい山が見えてきたら、それは「ニセ八つ」と呼ばれる「茅ヶ岳(かやがたけ)」。その後で、本物の八ヶ岳が見えてきます。
「あずさ」はぐんぐん登っていき、車窓から見える家も減ってきます。
やがて長野県に入り、茅野駅に停車。先ほど車窓で見えた八ヶ岳の登山口へ行くには、ここ茅野駅で降ります。大きなザックをしょった登山客が降りていきます。
茅野駅から先、線路が単線になります。
要は電車同士がすれ違えなくなるので、待ち合わせをしたりして、このあたりで微妙に(と言っても数分程度ですが)電車が遅れてしまうこともあります。
まあ、高速バスの1~2時間の渋滞に比べればかわいいもの。行楽シーズンは、中央自動車道が渋滞するので、高速バスも大幅に遅れるのです。
右手遠くに諏訪湖が見えてきて、やがて上諏訪駅。上諏訪温泉の最寄り駅です。上諏訪駅にはほとんどの「あずさ」が停車します。
上諏訪~松本
上諏訪駅の次が、下諏訪駅です。下諏訪駅にはごく一部の「あずさ」が停車します。
諏訪には、信濃国の一の宮「諏訪大社」があります。諏訪大社は4か所あるのですが「下社春宮」「下社秋宮」は下諏訪駅が最寄り駅です。
もちろん、下諏訪温泉の最寄り駅でもあります。
下諏訪駅を出るとトンネルをくぐり、やがて名古屋方面からやってくる中央本線の線路が合流し、塩尻駅。ここ塩尻でも多くの「あずさ」が停車します。
塩尻は信州ワインの産地として有名で、塩尻市内にはワイナリーが何件かあります。塩尻駅のホームにもぶどうの木が植えられています。
塩尻駅を出ると、線路はほぼまっすぐ。「あずさ」はスピードを上げてラストスパート。
松本市に入るとマンションや住宅が増えてきて、終点の松本駅に到着です。
ホームに降りると、まつもとー、まつもとー、と放送が流れます。ああ旅行に来てるんだな、と思う瞬間。ご乗車お疲れ様でした。
松本から温泉に行くとしたら、アルピコ交通上高地線で上高地方面に行ったり、大糸線で信濃大町方面に行ったりもできます。
が、松本の市街地に近いのは、駅前にある松本バスターミナルからバスに乗ってすぐの、浅間温泉や美ケ原温泉です。
ご参考:中央高速バス
新宿から松本の間には、高速バスも走っています。「あずさ」とは競合関係にあると言えそう。
そんな中央高速バスも「あずさ」に負けずに多くのバスを走らせています。
高速バスの所要時間は、以下の通りです。所要時間で言えば「あずさ」の勝ちになります。しかも、高速バスは渋滞で遅れるリスクもあります。
- 新宿~諏訪・岡谷・茅野線: 新宿から上諏訪まで約3時間。
- 新宿~松本線: 新宿から松本まで約3時間20分。
ただ、これらの高速バス、運賃は3,000円台。「あずさ」に比べるとかなり割安で利用できます。
高速バスの走る中央自動車道が渋滞する週末に出かけるなら「あずさ」を利用したくなりますが、渋滞リスクの低い平日に出発するなら、高速バスの安さはかなり魅力。
諏訪まで、松本まで。両方とも温泉旅で利用したことがありますが、松本行きの高速バスについては以下のページでまとめています。
おわりに:あずさ号の良いところ
最後に「あずさ」の良いところはやはり、ライバルの高速バスに比べて渋滞で遅れるリスクがないこと。遅れを気にせず乗れるのは嬉しいです。
高速バスの方が断然安いのですが、割引きっぷ「トクだ値」で「あずさ」に安く乗ることも可能です。
また「あずさ」には車内販売もあります。個人的には甲州ワイン・信州ワインを飲みながら、ぼけぼけっと乗るのが大好きです。
車内販売、世の中的にはなくなっていく傾向にあるのですが、「あずさ」の車内販売は続いてほしいなと思いつつ。
まあ、行楽シーズンの「あずさ」は混んでいるので、なかなか車内販売が席までやってこないのですが。
さて、今度はどこへ行こうかな。