温泉好きのお湯

関東近郊を巡る、静かな温泉旅。今度はどこへ行こうかな。

11月某日静かな温泉旅 河口湖からの登山と山梨県・下部温泉へ('13)

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数年前まで、登山をしていました。基本的には単独登山、要はひとりで山に登っていたのです。

冬の山へは登らないという自分ルールにしていたので、毎年3月下旬くらいから11月の上旬くらいまでが、自分の登山シーズンでした。

2013年も、11月の3連休でこの年最後の山登りをしようと、まだ雪の降っていない河口湖エリアの山に登ることにしました。

河口湖の北にある「御坂黒岳」に登り、下山後は5年ぶりに「信玄の隠し湯」下部温泉で泊まることにしていました。

1日目:河口湖で前泊

高速バスで河口湖へ

出発前に横浜で用事があったので、それを済ませてから河口湖行きの高速バスに乗りました。

バスには外国からの観光客や、小さな子連れのお母さんも乗っていました。道路が渋滞しないといいな、と、小さな子連れのお母さんを見てちょっと思いました。

幸いバスは渋滞もなく東名高速を走って御殿場インターまで行き、その後に山中湖、富士急ハイランドを経由していきました。

富士山が車窓から見えると、外国人の方は"Oh,"と富士山にカメラを構えていました。

バスの終点、河口湖駅に着いて、このあたりの名物の「吉田うどん」を食べてみたいと思いつきました。

駅の観光案内所で聞くと、吉田うどんはお隣の富士吉田の食べ物なので、この近辺で食べられる店は近くにはない、とのこと。

で、富士急の電車に少し乗って、2つ隣の富士山駅で電車を降りて、駅前のお店でうどんだけ食べて河口湖駅に戻ってきました。

馬肉とキャベツの乗った、硬くて食べごたえのあるうどんでした。

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次の日の計画を練る

この日は駅前すぐの「プチホテル」を名乗る宿に泊まりました。

1階はレンタカーの営業所兼レストランで、2階から上が客室。かなり古びていて、壁の向こう、隣室のテレビの音がよく聞こえ、お風呂はかなり熱くて、という宿でした。

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素泊まりだったので、食事はどうだったのかは分かりません。

夜は宿の部屋で地図とにらめっこしつつ、最後まで決めていなかった下山ルートをどうするかじっくり迷ったのですが、最後は下山地点のそばに温泉施設があり、山を下りてすぐ温泉に入れるルートで下山しようと決めました。

これが結局は判断ミスになりました。

2日目:河口湖駅→御坂黒岳→河口湖駅→下部温泉

山頂へ

宿を朝早くチェックアウトして、すぐ目の前のバスターミナルから朝一番の甲府行きのバスに乗りました。

朝一番のバスに乗らなくても御坂黒岳は十分に日帰りできる山なのですが、

  • 登山時間を少しでも多く確保したい(トラブルがあった時のために)。
  • 前泊したほうがコンディションが整うかも。
  • 下山後に乗る下部温泉行きのバスが少なく、乗り遅れたら大変。
  • 2泊3日にして、ちょっとした旅を味わいたい。

と、今回は贅沢に前泊したのです。

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「三つ峠入口」という、トンネルの手前のバス停で降ります。

半年前にここから「三つ峠山」に登っているので、見覚えのある場所です。御坂黒岳への登山口はトンネルの脇にあり、準備体操をして登って行きました。

紅葉が黄色くてまぶしい中、つづら折りの道を登ります。戦国時代、山の上には小さな城があったそうで、よくよく足元を見てみれば、石垣のようなものがありました。

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登り切ったところが「御坂峠」。ここにはお店の跡地と、もはや使っていいのか分からないトイレがありました。ここまで、誰ともすれ違いませんでした。

黒岳方面の道を進みます。森を抜けて、そこそこ標高的にも高いところに来たせいか、少し太陽の光を感じつつ。

ここで1名の方とすれ違い。山頂近辺には休憩できるスペースがあって、そこでご夫婦とすれ違い、ようやく3名。人の少ない登山道です。

その先の山頂は、河口湖と富士山がきれいに見える場所でした。

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下山

ここから下山。前夜さんざん悩んで選んだルートです。このルートを歩く人も少ないらしく、道は落ち葉で埋め尽くされていて、人が歩いた跡が見当たりません。

途中で1人すれ違いましたが、それ以降は最後までひとりぼっちの下山でした。そしてやや急な下り坂。

時折、下山地点「広瀬」への道しるべがあるのですが、この道しるべ、変な方向に曲がっていたり、地面に落ちていたりと、ちょっと不安を感じさせる展開でした。

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やがて、次の道しるべが見当たらなくなりました。足元も落ち葉びっしりで、道がどこにあるのかも分からないので少し不安に。

山の地図を見ても、広域の地図だからか、現在地が何となくしか分からずです。ただ、相当降りてきているのは確かでした。

進んだり戻ったりの試行錯誤を何度か繰り返したのですが、どこに進んでいいのか分かりません。

そうしていると「ピンクテープ」を見つけました。

ビニールテープを木にくくり付けたもので、山ではよくある目印です。これを見て少し安心し、ピンクテープを追って進むことにしました。

(↓の写真の時点では道標がありました。ピンクテープとは、左の木にくくりつけられているようなテープのことです。参考までに。)

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ピンクテープをたどっていくと、やがてそのピンクテープも見当たらなくなりました。歩いている足元がこれまでより柔らかくなっています。

それまでは固く踏まれた登山道が落ち葉の下にあったのでしょう、足元がしっかりしている感じがありましたが、もはや登山道の上を歩いていないようでした。

見た目は落ち葉に覆われて分からないのですが、ずぶりずぶり、足が落ち葉に沈んでいく。

薄暗い森の中でした。本来は登り返して明るいところに出るのがセオリーですが、もう登り返す気力はなく。

そもそも、どこまで戻ればいいのかも分からないのです。ここで正直怖くなり、夢中でそのまま下っていきました。落ち葉と枯れ枝と藪の中、ひたすらに。

車の音が聞こえてきました。道路が近いようです。少し足取りを慎重に、音のするほうに下り続けると目の前が明るくなり、大きな道路の脇に出ました。

スマホのGPSを見ると、登山口の少し手前の国道沿いに降りてきていました。少なくとも、想定とは違う場所への下山でした。

下部温泉へ

何とか下山できたのですが、河口湖駅に戻るにはバスに乗る必要があります。

バス停を目指して国道を歩いていきました。途中のお店でキノコ汁が売っていて、飲んだら沁みた。。

やがてバス停を見つけたのですが、次のバスまで相当時間があったので、タクシーを呼んで駅まで戻りました。

3連休だったせいか、なかなかタクシーも捕まらずでしたが、最後は予定していた下部温泉行きのバスに乗ることができました。

バスは富士山の脇を走ります。

紅葉のトンネルのようなきれいな秋色の道でしたが、正直風景に気持ちは行かず、ただ、無事で良かったという思いだけでした。

バスの終点はJR下部温泉駅と温泉街との中間にある中途半端なところでした。

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普段だったら歩いて宿に行くのですが、このときは宿に電話して迎えに来ていただきました。

下部温泉は30度そこそこの「ぬる湯」で有名な温泉地ですが、今回の宿に引かれている温泉は熱い源泉で、すっかり心身ともに冷えていた自分には、ちょうど良かったです。

体が暖まると、ようやく安心できたように思います。 

www.onsen-oh-yu.com

3日目:下部温泉→帰宅

次の日の朝、部屋の外は川と、色づき始めた紅葉でした。朝食をお部屋でいただき、チェックアウト。その後、JR身延線で静岡県に出て、帰宅したのでした。

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反省と感想

・・・と、山で怖い経験をしたのですが、原因は自分の事前調査とスキル不足だったかと思っています。

このとき選んだ下山ルートは情報が少ないながらも、ネットで個人の登山記録を検索すれば、やや難しそうなルートだったことが分かりました。

それは後でわかったことで、行く前は本と地図のみで検討していたのでした。(もちろん、迷ったもう片方のルートがどうだったのかは分からないのですが)

また、もし迷ったとしても地図やコンパスで、今自分がどこにいるのかをきちんと把握できるスキルがあれば、予定通り下山できた可能性があります。

それまで有名な山のよく歩かれているルートばかり歩いていたので、地図やコンパスの使い方が未熟でも問題なかったのです。

数少ない救いは、前泊をして時間を十分に確保していたので明るいうちに下山できたことと、幸いにも怪我もなく、救援を求めることもなく下山できたこと、です。

ただ無事だったのは運の要素が強いでしょう。何かあったら、多くの人に迷惑がかかるところでした。

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そしてこの年(2013年)は、この登山以降冬に入ったので登山はしませんでした。

翌年も4回ほど登ったのですが、山への恐怖心が抜けず、心から登山を楽しめなくなった自分がいたので、2014年の夏を最後に、今のところ登山はしていません。

一方で、下山後に入った温泉は自分を優しく温めてくれました。温泉っていいな、と再度実感したのです。

登山にはまっていた時は、あまり温泉宿でのんびり過ごすことはしていなかったのですが、これをきっかけに、またあちこちの温泉へと足が向かっていきました。

今後山に行く可能性は低い自分ですが、登山される方のブログ等を見るのは今も好きです。風景写真はきれいだし、懐かしさもありますし。

静かな温泉旅のブログを書いたり、静かな温泉宿で過ごしたりしながら、登山される方がこれからも登山を楽しまれることを、時々祈っています。

 

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